日本初の“ろう者俳優”は「silent」をどう観たか 想と紬の手話は「全身全霊」

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手話で話しかけられることも

 忍足さんも日常生活の中で、「silent」ブームを感じることがあるという。

「『silent』が放送されてからは、街中で手話を使っていると見知らぬ方からもニコニコされることがありますね。ランチを済ませて店を出ようとしたら、お店の方が『ありがとう』と手話で話しかけてくださったこともあります」

 紬のように手話を習ってみたいと思う人も多いのではないだろうか。

「手話が社会に浸透して、みんなが自然に手話で挨拶をしたり、ちょっとしたお話しが出来るようになるといいなと思います。やはり、障害者ということで差別されたり嫌な思いをした経験があります。私としては『ただ聞こえないだけなのになぁ』という気持ちなので、ドラマで手話に興味を持った方は、手話を外国語を学ぶような感覚で楽しみながら、ろう者と交流してみて欲しいと思います。そうすれば、ろう者に対するイメージや固定概念が変わるはずです」

「silent」をきっかけとして、ろう者俳優の活躍の場が広がることも期待する。

「私が映画『アイ・ラヴ・ユー』でデビューした1999年当時は、耳の聞こえない俳優がすごく珍しがられました。実はろう者劇団で活躍しているろう者俳優は全国にたくさんいらっしゃるんですが、現在でも芸能界に入るのは難しく、行き詰まっている人が多い。そうした中、文化庁がろう者・難聴者の俳優養成講座を開講するという大きな動きがありました。深田晃司監督作で手話を使うキャラクターが登場する映画『LOVE LIFE』(2022年公開)や『silent』がきっかけとなって、ろう者をキャスティングする動きが日本でもできて欲しいです」

デイリー新潮編集部

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