子供や家族を持たず「ひとりで生きる」から見える世界だってあるはず ふかわりょうがトークイベントで語ったこと

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「どちらの私が見たいか教えてください」

 11月18日、お笑い芸人のふかわりょう(48)が、自著エッセイ集『ひとりで生きると決めたんだ』(新潮社)の刊行記念トークイベントとして、お笑いコンビ・アンガールズの田中卓志(46)と対談をした。

「50代をひとりで歩むふかわりょう、家族と歩むふかわりょう、どちらの私が見たいか拍手で教えてください」

 軽妙な問いかけで会場を盛り上げたふかわりょう。問いかけの結果、「ひとりで歩むふかわりょう」が会場の多数派に。

 まさに「ひとりで生きる」ことをファンも望んでいることが判明したのである。

「なんかショックだった」

 エッセイでは、日常の気付きが軽快に描かれる。

 例えば、女優・田中みな実(36)に言われたこんな一言。

「同じもの食べていると、認知症になるよ」

 毎日同じリズムで生きている自分を反省したという(同書所収「拝啓 みな実さま」より)。

 これを聞いたトーク相手の田中は、

「田中みな実さんとかに影響受ける人じゃないと思っていたんですよ。なんかショックだった」

 と冗談を言いつつ、こう続ける。

「結婚ってすごくふかわさんとは別のものな気がして、それがどーんって人生に入ってきたら、(さらに影響を受けて)めちゃめちゃ広がりそうだなって感じた」

 もっとも、ふかわ自身は、著書のタイトル通り、「ひとりで生きる」ことをまったくネガティブには捉えていないようだ。

 同書の冒頭の文章を一部抜粋・引用してみよう。

「ふかわさんって、本当にどうでもいいことばかり気にしているよね。かつて、こんなことを言われたことがあります。
 そうです。たしかに世間一般からすれば、本当にどうでもいいことばかり気にしています。私が関心を持つことは、ほとんどの人が気にしないこと。重箱の隅を突(つつ)くようなこと。なので、『どうでもいい』で簡単に片が付きます。(略)
 もちろん、私にとっては、どうでもいいことでは決してなく、地球が回っているかどうかに匹敵するほど大切なこと。重箱の隅に宇宙を感じるのです。
 では、私にとってそれほど大事なことが、どうして皆にとってはどうでもいいのか。それは、きっと皆には、もっと大事なことがあるから。そんなことを気にする必要がなく、生きていけるから。だから、例えば、もしも私に子供がいたら。もしも私に家族がいたら。どうでもいいことになっていたのかもしれません。それ以前に、気が付くことさえなくなるのでしょう。
 
 いま、私が見ているものが、ひとりだからこそ見える世界なら、私は、この目を失いたくない。

 わかっています。他にも素敵な景色があることを。世界はもっと、広いことを。
 でも私は、この景色を眺めていたい。この景色を失いたくない。
 ひとりだからこそ見えるもの、気が付くこと。使命なんていうと大げさですが、もしも社会における役割をいただけるとしたら、誰もが素通りする場所で足を止め、ゆっくり眺めることだと思うのです。
 やがてこの世を去り、世間がすっかり私のことなど忘れたとき、偶然誰かの目にとまり、この本を手にした彼の人生に、かすかな振動を与えられれば、私はうれしいです。
 悲観なんて一切していません。謳歌も自負もしていません。ひとりで生きると決めただけ。
(略)」

 「ひとり」でいることが揶揄や心配の対象になることはいまだに珍しくない。そんな風潮に違和感を抱く人には、胸に染みる一冊かもしれない。

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