「明太子のテーマパーク」が全国に大展開 年間来場者数“600万人”の人気を博す理由

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キッズコーナー拡充は、次世代への“先行投資”

 これ以降、工場に併設する形で「めんたいパーク」が次々と作られていった。作るほどに内容が充実していき、4ヵ所目の「伊豆」からはキッズコーナーが拡大。大きなすべり台やボルダリングまである。

「好奇心旺盛、元気なお子さんにボルダリングは大人気です。コロナ禍でお子さんを遊ばせる場所がない、遊園地はお金がかかる。それなら、うちのめんたいパークで遊んでもらえるようにしようと、安全で楽しいコーナーづくりに注力しました」

 無料で遊べるキッズコーナーを拡充したのは、一種の“先行投資”だという。

「会社内ではずっと言ってることなんですが、明太子をいつも食卓にあるものにしたいんです。試食してもらって小さい時から味に馴染んでもらい、20年後、さらには次の世代に繋いでくれると嬉しい。“あそこ楽しかったね”と、かねふくの名前を覚えてもらえればありがたいです」

 ところで本題、なぜ福岡県以外にめんたいパークを次々と作ったのか?

「博多発祥の会社ですし、辛子明太子が博多の名産品であるという部分は大切にしています。しかしその一方で、今や明太子はおにぎり、パスタ、お菓子など、全国的に食材として広く使われています。原料のスケトウダラはアメリカかロシア産がほとんどで、元々、博多では獲れません。美味しい明太子を安定的かつ早く届けるために工場を増やし、めんたいパークも作りました。めんたいパークの売店では、工場出来立ての美味しい明太子が買えます」

 辛子明太子は誕生して70年以上を経て、“博多の名産”から“国民食”へと成長していた。

華川富士也(かがわ・ふじや)
ライター、構成作家、フォトグラファー。1970年生まれ。昨年、長く勤めた新聞社を退社し1年間子育てに専念。今年からフリーで活動。アイドル、洋楽、邦楽、建築、旅、町ネタ、昭和ネタなどを得意とする。過去にはシリーズ累計200万部以上売れた大ヒット書籍に立ち上げから関わりライターも務めた。

デイリー新潮編集部

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