中国・高裁で無期懲役判決 歯はほとんど抜け落ち…「79歳日本人」を待ち受ける今後の運命と、中国当局が無視した「国際的詐欺事件」

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最高人民法院での審理の行方

 地元の同僚市議によると、この間、日本に残された家族の心労も大きかったという。

「外務省関係者が“必要な支援はします”と家族に話したこともあったそうですが、“救出”に向けた具体的な行動に乗り出すことはなかったという。今回の判決には関係者一同、ショックを受けています」

 日本政府が介入できなかった理由について、全国紙政治部デスクはこう話す。

「スパイ容疑での拘束であれば、日本政府も当事者となり得るため、政府が前面に出る余地もありました。けれど今回は、事実認定は別にして、犯罪事案のため“政府として積極的に動きにくい事情がある”と自民党関係者は話しています」

 9年の勾留生活において、歯はほとんど抜け落ち、入れ歯も入れてもらえないなどの不便や苦労も経験したという桜木氏。今後の見通しはどうなるのか。

「二審制が原則の中国ですが、最高裁に当たる最高人民法院への申し立ては可能です。ただ判決が見直される可能性は非常に低いとされる一方、適用法律に誤りがあると認められたり、判決の及ぼす影響が大きいと判断された事案については審理のやり直しが行われるケースもある。また今後、中国の裁判所が桜木氏の年齢などを考慮し、有期刑に減刑される可能性も残されています」(前出・特派員)

 故郷の土を再び踏む日は訪れるか。

デイリー新潮編集部

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