トレードで野球人生が“暗転”…セ・リーグでは全く活躍できなかった3人の名選手

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「エースとストッパーの大型トレード」

 今年は、中日・阿部寿樹と楽天・涌井秀章、中日・京田陽太とDeNA・砂田毅樹の交換トレードが成立するなど、例年以上にトレード戦線が活発化している。主力級の選手ともなれば、両リーグで首位打者になった内川聖一(横浜→ソフトバンク→ヤクルト)のようにリーグが変わっても結果を出した選手が多いが、過去にはパ・リーグでは活躍したのにもかかわらず、セ・リーグでは別人のように精彩を欠いた選手がいた。【久保田龍雄/ライター】

 その一人が、日本ハムのエースだった高橋直樹である。1981年に広島・江夏豊との交換トレードで広島への移籍が決まると、「エースとストッパーの大型トレード」と話題を呼んだ。

 だが、“V請負人”江夏が日本ハムでも25セーブを記録し、19年ぶりのリーグ優勝に貢献したのに対し、二桁勝利を期待された高橋は2勝5敗2セーブと期待に応えることができず、明暗を分けた。

 もともと高橋は立ち上がりが不安定で、尻上がりに調子を上げていく投手だったが、DH制のないセ・リーグでは、序盤に失点し、5回に打順が回ってくると、早々と代打を送られるため、序盤にますます力んで、リズムを崩した。また、コーナーワークで勝負するタイプだったため、セ・リーグとパ・リーグのストライクゾーンの違いに戸惑い、持ち味を発揮できなかった。

「セ・リーグの水が合わないだけ」

 2年目は開幕から2軍暮らしが続き、選手生命の崖っぷちに立たされたが、球団創設4年目の初Vを狙う西武・根本陸夫管理部長が「セ・リーグの水が合わないだけ。水槽を変えれば必ず再生する」と6月に緊急トレードで入団させた。

 再び、パ・リーグに戻った高橋は、まさに水を得た魚のように7勝2敗1セーブと復活を遂げ、日本一に貢献。翌83年も13勝3敗で初タイトルの最高勝率に輝き、V2戦士になった。ところが、86年に巨人に移籍すると、41歳という年齢もあり、1勝も挙げられずに現役引退となった。

「日本プロ野球トレード大鑑1936-2001」(ベースボールマガジン社)によると、高橋自身は「各チームに失礼かと思うが、僕の場合はトレードされるたびに強いチームに行ったから、あとから考えると良かったと思う」と回想している。

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