水原希子も絶賛 老舗ラブホの名物「回転ベッド」を、女性カメラマンが自宅で“保存”する深い理由

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「昭和ラブホ」にハマった深すぎる理由

 回転ベッドは直径約2.5メートルあり、輸送するのも、設置するのもかなり大変だったという。では、なぜ那部さんはそこまでして、使い古された回転ベッドを家に運んだのか。その前に、そもそもなぜ昭和ラブホ巡りにハマったのか?

「普段は写真撮影の仕事をしているんですが、4年ほど前にカップルから“写真を撮って欲しい”と依頼がきました。指定された場所が川崎市の『迎賓館』という、昭和ラブホの最高峰のようなホテルでした」

 ファンの間では、「迎賓館」は息を呑むほど美しい内装で知られていた。ロココ調メゾネットの部屋には、お姫様が下りてきそうな美しくカーブした白い階段があり、見上げれば天使が描かれた天井画と、ベネチアングラスのシャンデリア。和風の部屋には橋が架けられ、中華風の部屋は天井や壁に凝った装飾が施されていた。

 これに目をつけたのが沢尻エリカ主演の映画「ヘルタースケルター」のスタッフで、実際に撮影が行われている。また、コスプレイヤーもその魅力に気づき、全国から撮影に訪れていた。しかし、残念ながらこちらのラブホも2019年に解体されている。

 那部さんに撮影を依頼したカップルが迎賓館を指定したのには理由があった。

「実はそのカップル、不倫だったんです。そのことを知った時、カップルにとって最高の思い出の地は、必ずしもハネムーンや結婚式場とは限らないと気づかされました。人目を避けて会いたい2人が、思い出を刻む場所として選んだのが『迎賓館』だったんです」

 カップルはウエディングドレス姿で撮影した。実らぬ恋、せめて2人だけの秘密の結婚写真が欲しい。結婚式場を上回るような迎賓館の内装こそ、その撮影にふさわしい場所だった。

記録して後世に残したい、日本が誇るラブホ文化

 そんな2人の姿を目の当たりにして、那部さんのラブホテルに対する考え方が変わった。
「どんなカップルも素敵な思い出を作れるようにと、知恵を絞って演出やデザインを形にした人たちがいたわけです。その方々に心からの敬意を表したいと思うようになりました。何かと世間の風当たりが強いラブホテルですが、日本が誇る至極の文化だと思います」

 同時に迎賓館の内装に魅了され、昭和ラブホのデザインを記録したいと思うようになった。とはいえ、コロナ禍もあり、昭和ラブホの閉業が相次いでいる。

「私にできることは、少しでもお金を落とすこと、昭和の内装を1部屋でも多く記録して後世に残すことです。残念ながら、私が撮影を始めた2018年以降、すごいペースで閉業が続いています。なるべく早く巡らなくてはと思っています」

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