大塚家具創業家の「資産管理会社」が特別清算 結局すべて失った久美子元社長は何を思う

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 デイリー新潮はこれまで、大塚家具について多くの記事を掲載してきた。一昨年12月に大塚久美子氏(54)が社長の役職を退き、今年5月には大塚家具もヤマダ電機(ヤマダホールディングス)に吸収合併された。これで新たな記事を作ることはないだろうと思われたが、まだあった。大塚家の資産管理会社「ききょう企画」が、東京地裁から特別清算開始の命令を受けたのである。

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 官報にはこうある。

《令和4年(ヒ)第2053号/清算株式会社 株式会社ききょう企画/代表清算人 大塚久美子/1 決定年月日 令和4年10月25日/2 主文 清算株式会社につき特別清算の開始を命ずる。/東京地方裁判所民事第20部》

 ききょう企画とはどんな会社なのか、大塚家具の関係者が解説する。

「大塚家具を創業した大塚勝久氏(79)が、同社の株を保有する資産管理会社として設立したのがききょう企画です。もっともその実態は、彼の家族、主に5人の子供たちが大塚家具からの配当で先々の生活に困ることがないようにとの勝久氏の親心で設立されたものだったと聞きます。社名のききょうは、大塚家の家紋に由来するそうです」

 まさに大塚家を象徴する会社だったわけだ。

「ききょう企画の負債額は約1億円と言われています。この負債はおそらく、勝久氏と長女の久美子氏との間で争われた訴訟で敗訴して、その支払いのために借り入れられた約17億円の残りでしょう」

 やはり、骨肉の争いと報じられた親子喧嘩を振り返らないわけにはいかないようだ。

やられたらやり返す

 埼玉県春日部市の桐箪笥職人の家に生まれた勝久氏が大塚家具を創業したのは1969年。会員制で高級家具を販売する手法で、一代で同社を成長させてきた。創業40年を迎える2009年3月、勝久氏は会長に退き、後任の新社長に立てたのが長女の久美子氏だった。

「ここで骨肉の争いの火種が生まれました。久美子新社長と勝久会長は経営のあり方を巡って対立。14年7月、久美子社長は解任され、勝久会長が社長を兼務することになりました」

 これで一件落着とはならなかった。

「社長解任直後から社長復帰と父親の排除を画策していた久美子氏は、15年3月の株主総会で大株主として経営陣退任の提案を検討していることが明らかになります。実は、久美子氏は社長を解任される前に、ききょう企画から取締役の長男・勝之氏、監査役の母・千代子氏を解任し、勝久派を排除していました。彼女は大塚家具株のおよそ10%を持つ大株主であるききょう企画を使い、勝久氏を支持していた社外取締役に内容証明を送って批判を展開。彼を辞めさせることに成功しました。その後、取締役会の多数派工作が実を結び、勝久氏らを排除した取締役候補者案を会社提案として株主総会に提出することにも成功しました」

 親子喧嘩はさらに激しさを増す。

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