最も自律神経が乱れる曜日は? 「ため息」は実は大切? コロナ禍でたまった体調不良のリセット法

ドクター新潮 ライフ

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10年で15%ずつ低下

 さらに困ったことに、自律神経のバランスは高齢者ほど乱れやすい。というのも、私たちの研究では、交感神経の働きは20代でも70代でもさほど変わらないものの、副交感神経の働きは男性だと30代から、女性だと40代から衰えていくことが分かっています。その衰え方は非常に激しく、10年ごとに約15%ずつ低下していく。単純計算すると、仮に40代の副交感神経の働きを「100」とすれば、50代で「85」、60代で「72」、70代で「61」、80代では「52」と半分ほどになってしまうのです。

 つまり、加齢とともに自然と交感神経が優位になりやすくなるところに加え、四六時中、緊張を強いられるコロナ禍でさらにその傾向は強められているのです。

 ここまで見てきたように、自律神経と血流は密接に関係していることから、先ほど紹介した「立つ」ことや、スピードの変化=ストレスを与えないために一定のリズムでのウォーキングが効果的なわけですが、それ以外の自律神経の整え方にはどのようなものがあるのでしょうか。

「ため息」の意味

「立つ」と同様に手軽なのは、呼吸の仕方を意識することです。ミスをした時や落ち込んだ時に、思わず「はーっ」とため息が出ることがありますよね。実は、このため息には意味があるのです。というのも、息を長く吐くと副交感神経の働きを効果的に高めることができる。つまりため息は、心を落ち着かせるために自然に起きる「呼吸によるリカバリーショット」なのです。したがって、吸う時間「1」に対して吐く時間「2」という、深くゆっくりとした呼吸は、交感神経優位な状態を脱するのに効果を発揮します。

 また、夜のスマホ使用には要注意です。人間の体は、朝、最も交感神経が優位になって、その後の活動に向けた準備を開始し、夕方から夜にかけて徐々に副交感神経が優位になり、落ち着いて眠りにつけるようメカニズムされています。

 にもかかわらず、夜になっても、場合によっては寝床に入ってもスマホを見続けている人がいます。すると、入ってくる情報に刺激され交感神経が活発に働いてしまい、リラックスできず入眠しづらくなる。寝たとしても、浅い眠りになってしまう。当然、自律神経のバランスが崩れますので、例えば「スマホを見るのは夜8時まで」と時間を区切り、以降は一切弄(いじ)らないといった工夫も大切です。

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