“ハンコ失言”の葉梨法相 法務省内からは「この大臣がいる限り、次の死刑執行はムリ」

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「東大法学部を出ていながら、死刑執行命令書にサインする重みをまったく分かっていない。もはやこの大臣の元では、死刑執行が不可能な状況に陥りました」(法務省関係者)。葉梨康弘法相の失言に、永田町ばかりでなく法務省内からも「辞任すべき」という声が飛び交っている。本人は続投の構えだが、岸田文雄首相は守りきれるのか……。

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余計な発言は許されない

 問題の発言は9日夜、武井俊輔副外相が主催する会合に出席した際の挨拶で飛び出した。

「法務大臣になり三月(みつき)になりますが、だいたい法務大臣というのは、朝、死刑のハンコを押しまして、それで昼のニュースのトップになるというのはそういうときだけという地味な役職なんです」

 法務省関係者はこう呆れる。

「いま世界では死刑を廃止している国が多数派で、日本は国際社会の批判に晒されています。そんな中、法務省 は、法に従って粛々と執行していかねばならない立場。法相は『死刑賛成』を唱えてもいけない。死刑執行について余計な発言は、一言たりとも許されないんです。プライドが高いからだろうが、定例会見でもペーパーを棒読みすればいいところを自分の言葉で語りたがるところがあった。ただ、まさかこんな軽々しい失言をするとは……」

葉梨氏では死刑執行はムリ

 省内では「よりによってこのタイミングで」という声も多い。死刑執行は、国会が閉じた後の12月に行われることが多いからだ。昨年は03年に群馬県でパチンコ店店員2人を殺害した高根沢智明元死刑囚(当時54)など3人、19年には03年に福岡県福岡市で一家4人を殺害した中国人元専門学生の魏巍(ウェイウェイ)元死刑囚(当時40)の死刑執行が年末にあった。

「今年は7月に秋葉原無差別殺傷事件の加藤智大元死刑囚(当時39)の執行がありました。執行命令書にサインしたのは古川禎久前法相で、就任して3カ月の葉梨氏はまだ一度もない。ただし今後、葉梨氏が死刑執行命令書を前にハンコを手にすることはないでしょう」(同)

 この人がサインすると“ハンコ発言”がぶり返され、厳粛に執行できないというのだ。それもあって、辞任に追い込まれるのではないかという声も省内では出ているという。

「もし今年も年末の執行を考えていたなら、これから検討に入るくらいの段階です。ただ、11月28日からはドイツで初の『G7法務大臣会合』も控えている。いまから代えるのにしても地獄が待っています」(同)

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