アフリカの某国で「日本人女性と楽しめる」と書かれた風俗広告を発見…元公安警察官が調査してみた

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 日本の公安警察は、アメリカのCIA(中央情報局)やFBI(連邦捜査局)のように華々しくドラマや映画に登場することもなく、その諜報活動は一般にはほとんど知られていない。警視庁に入庁以後、公安畑を十数年歩き、昨年9月に『警視庁公安部外事課』(光文社)を出版した勝丸円覚氏に話を聞いた。

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 勝丸氏は、かつて警視庁から外務省に出向し、アフリカのある日本大使館に警備担当の外交官として赴任したことがある。今回ご紹介するのは、その時に体験した逸話である。

「日本大使館では、新聞を6紙とっていました。エンタメ記事の多い新聞を読んでいたところ、『日本人女性と楽しめる』と書かれた風俗広告を発見しました」

 そこには、電話番号とある地名だけが書いてあった。

「日本人女性が悪い連中に囲われ、強制的に売春をさせられているのではないかと心配になりました」

10人に1人がエイズ

 邦人保護の観点から、勝丸氏はその広告を手がかりに調査を開始した。

「当時、その国は性風俗が盛んで、成人の10人に1人がエイズに罹っているという統計もありました。性被害にあう女性も多く、私は現地にいる日本人女性には、もし被害にあっても泣いている暇はない。エイズに感染していないか、検査してくださいと言っていました。また、日本から赴任してくる男性には、買春行為などはやめて欲しいと注意していました」

 勝丸氏は、英語で公衆電話から新聞に載っていた番号に電話した。

「『俺は中国人だけど、日本人女性と遊びたい』と言うと、サービスの内容や料金を説明してくれました。女性との待ち合わせの場所を知らせるから、次は携帯電話から連絡してくれと言われました」

 そこで勝丸氏は、路上で格安で売られていた携帯電話を入手した。

「元警察官で日本大使館の警備をしていた現地の男性に入手した携帯電話を渡して、お客を装って欲しいと依頼しました。紹介された女性が日本人であるか確認し、日本人ではなかった場合は、『詐欺だ』などと言ったりしないでもらいたいとお願いしました」

 最終的に、女性が日本人かそうでないかわかった時点で、急用ができたと言って引き上げて欲しいと頼んだという。

「男性が電話をすると、待ち合わせ場所として首都の郊外にあるゲストハウスを指定されました。私も武装したガードマンを何人か連れて、後を追いました。料金は、日本円で1万円ほどで、ゲストハウスの入り口にいる男に4000円、女性に6000円支払ってくれと言われたそうです」

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