「70歳を過ぎたら大学病院に行ってはいけない」その驚きの理由は? お年寄りにとって本当に必要な医師とは?

ドクター新潮 ライフ

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ステレオタイプな治療や投薬

 単に複数の臓器についての専門知識を増やしただけなら、臓器別診療と変わりません。実際、「胃にはこの薬、狭心症にはこの薬、血糖値を下げるにはこの薬を出します」という、ステレオタイプな治療や投薬が行われているケースが少なくないのです。

 そうではなく、「この人は高齢で腎機能も低下しているだろうから、体への負担を考えて、薬を飲む回数を1日3回から2回に減らそう」だとか、「この患者さんは多剤服用しているけれど、いまの症状からすると最優先で緩和すべきは〇〇だから、腎機能や肝機能への副作用を考えて、服用する薬の数を減らそう」といった判断が必要です。

 要するに、患者さんの年齢や体調を総合的に判断できる医師が「総合診療医」と呼べるのであり、そういう医師こそが、高齢者には必要なのです。

教授クラスが新薬の治験に関与

 多剤服用の問題に触れましたが、これについては医学部教授と製薬会社の癒着についても指摘できます。

 現在、製薬会社の自主規制で、医師への接待の上限が2万円となり、以前のような猛烈な接待は影をひそめています。しかし、大学の教授クラスは新薬の治験に関わり、開発者の一人として製薬会社からお金をもらっているケースが少なくありません。

 その結果、自分の研究室で治験を行って認可された新薬を、使っていない部下や関連病院の医師がいると、「君は不勉強だ」などと圧力をかけ、既存の薬が十分効いているのに、自分が開発に関わった新薬を使わせる、などということが横行するのです。大学病院ではこうしたことが起きやすい、ということも認識しておいて損はないでしょう。

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