中国「習近平」3期目突入で“ジリ貧”岸田政権に突き付ける「爆買い復活」のアメと「台湾独立不支持」の踏み絵

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 10月16日、5年に一度の中国共産党大会が北京で開幕した。習近平総書記の異例の3期目突入が“宣言”される見込みで、「習近平の絶対化」が確立する。不動の権力を手にした習近平が狙うのは「中国の核心的利益」と位置付けられる中台統一だが、その悲願成就に向け、早くも日本への揺さぶり攻勢の準備を始めているという。

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 今回の最大の焦点は、習近平総書記(国家主席)が建国の父・毛沢東に並ぶほどの権力を手にするかどうかにあるという。

「これまでの2期10年で習氏への権力集中は加速しました。汚職撲滅を目指した反腐敗闘争のもと、今年春までに党や地方政府の幹部ら470万人が規則違反や汚職容疑で立件されましたが、その過程で“政敵”も次々と粛清。経済成長により中国の1人あたり国内総生産(GDP)は1万ドルを超え、メディア統制も相まって、中国国民の習氏に対する支持は依然高いとされます」(全国紙外信部デスク)

 権力集中と並行して強化されたのが権威付けだ。1期目政権の2016年、習氏は“別格の指導者”を意味する「核心」という呼称を獲得。17年には習氏の名前を冠した思想が党規約の行動指針に盛り込まれた。

「党規約に個人名が刻まれた指導者は毛沢東、鄧小平に続いて3人目。中国において党規約は憲法と同じか、それ以上の重みを持ちます。87年以降、党大会ごとに内容が書き替えられてきましたが、今大会では3期目以降のさらなる長期政権への道を開く規約改正の可能性も噂されています」(同)

アメと鞭を駆使して「中台統一」

 習氏が強く意識しているとされるのが毛沢東だが、その“建国の父”でさえ、成し得なかったのが「中台統一」である。

「現在の党規約でも台湾問題について〈祖国統一を完成する〉と明記されていますが、習氏は昨年7月の党創立100年式典の場で“国の完全統一を実現することは共産党の歴史的任務だ”と強調。16日の演説でも台湾をめぐっては“決して武力行使の放棄を約束しない”と一歩踏み込んだ表現をしました」(同)

 中国事情に詳しいシグマ・キャピタル代表取締役兼チーフエコノミストの田代秀敏氏が話す。

「党大会を経て盤石の権力基盤を手にすれば、習総書記は誰に憚ることなく、フリーハンドで好きな政策が打てることになる。“中国の核心的利益のなかの核心”と表現される台湾問題について、新たにスタートを切った習政権が周辺国に対してアメと鞭を使い分けながら目的達成へと邁進することは間違いありません。そのなかで支持率と経済のダブル低迷に喘ぐ岸田政権は格好のターゲットと目されています」

 すでに日本に対する硬軟織り交ぜた戦略も練られているという。

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