コーチ陣刷新の巨人 大久保打撃コーチ、阿波野投手コーチ起用の読み方【柴田勲のセブンアイズ】

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現役時代の成績が重要

 コーチには2種類のタイプがいる。(1)は、監督の顔色をうかがって無難に仕事をする。(2)は、監督は関係ない、オレは選手に対してやりたいように指導するというタイプ。早い話、(1)はサラリーマン型、(2)は職人・侍型だ。現在は(1)型がほとんどだ。第一、(2)は監督が嫌う。

 選手は選手で、自分よりも現役時代に成績が悪かったコーチの指導にはそれほど信頼を置かない。一応、アドバイス対しては「ハイ、ハイ」と聞くが、右の耳から左の耳だ。

 その点、辞めた村田コーチの方が現役時代の実績がある。でも、責任を取らされたのだろう。大久保には明るさがある。今季の巨人のチーム打率は2割4分2厘とリーグ最低だった。力のある選手はそろっている。あとはどうやって選手を乗せて力を引き出すかだ。

 大久保には原監督に遠慮なくガンガン意見を言ってもらいたいところだが、果たしてどうなるか。顔色をうかがっていてはなにも変わらないと思う。

すべては原のため

 分からないのが阿波野秀幸の復帰だ。投手チーフコーチとしてだという。桑田真澄投手チーフコーチはファーム総監督への配置転換になるという。

 阿波野は2001年から03年まで巨人で2軍投手コーチ、04年から05年は1軍投手コーチを務めた。04年はブルペン担当でチーム防御率は4.50、05年はベンチに入ったが同4.80でリーグ最下位だった。巨人は5位になり、退団している。ダメだった。

 今年の巨人のチーム防御率は3.69でチーム打率とともにリーグワーストだった。立て直しに適任の人材なのか。大いに疑問だ。

 私は桑田の続投でいいと思う。巨人生え抜きで実績を残している。考え方だってしっかりしている。自分がこれまで経験したことを原監督にどんどん言うべきだ。いまさらの話になるがどうしても解せない。

 阿波野だと原監督に必ず遠慮が出る。立て直しは急務なのに……。疑問は膨らむ。

 阿部慎之助作戦兼ディフェンスチーフコーチはヘッドに昇格するという。元木大介ヘッドは1軍の内野守備に配置転換とか。

 阿部の場合は雑誌の表紙を替えたようなものだ。見ていると、これまでもヘッドの仕事をしていた。元木は今季リーグワースト2位の82失策だった守備の立て直しに専念する。

 川相昌弘ファーム総監督が1軍に上がってくるようだが、具体的にどんな役割になるのか。こちらも注目だ。

 いずれにせよ、今回のコーチ陣刷新は全権監督の原が主導権を握って決めたことでありすべては原のためだ。チーム再建にどう立ち向かっていくか。見守っていきたい。

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会副理事長を務める。

デイリー新潮編集部

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