ノブコブ徳井が「嫉妬するほど面白い」と語る芸人6組は?〈キングオブコント2022決勝進出コンビも〉

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思わず感じた「殺されるかもしれない」

 若くしてキングオブコントもM-1も決勝に進出している「ロングコートダディ」。

 堂前と兎が組むこのコンビは、きっと僕なんかがいずれ背中も見えなくなるくらいに大成すると確信している。

 堂前自身はもう覚えていないかもしれないが、少し前に千原ジュニアさんが大阪でやっている「座王」という番組で一緒になったことがあった。

 当時の僕はまだ堂前のことを知らず、「大阪の見たことのない後輩」くらいの感覚でいた。楽屋でも軽くはあいさつを交わしたが、おっとりとした優男、そんな印象だけだった。ギラギラとした雰囲気、オーラ、目付きみたいなものを感じ、実際に足が震え出したのは本番が始まってからだ。

「殺されるかもしれない」

 思わず後ずさりしてしまうくらいの殺気だった。お笑いなんかで何を大げさな、そう高をくくる人がいるかもしれない。だが特に若手芸人というものは、笑いで人を殺そうとしているのだ。

 かつては僕ら平成ノブシコブシもそうだったし、もっともっと高いレベルでいえば千原ジュニアさんもそうだったろうし、ダウンタウンのお二人もそうだったに違いない。

 その殺気の比喩として「尖っている」と世間では表現されるわけだ。つまり、笑いの「牙」や「爪」が尖っていて、その武器であわよくば先輩やおもんない同期、後輩を殺してやろう――そういうことだ。

 現に、堂前のギャグや大喜利は目が覚めるほど面白かったし、番組ではあの「笑い飯」の西田さんに次ぐ「座王」の回数を叩き出している。

「若手」であり賞レースのチャンピオンを狙うロングコートダディだから、まだまだ「尖って」いなくてはならない。

 けれど、大喜利でその場を圧倒した堂前なのに、普段の彼からは、それが感じられない。隣の兎から出る、柔らかな雰囲気からだろうか。カワイイ~と騒がれる見た目ではないのに、兎からはキュートさを感じてしまう。正に、動物のうさぎのような可愛らしさ。

 今年の夏、「カーネクスト presents オールザッツ漫才 真夏のゴールデンSP 1分ネタ頂上決戦」という番組があった。

 その時の、ネットでの反響も審査員からの投票数も、ロングコートダディは群を抜いていた。ネット民からも好かれ、芸人からも認められ、優勝を果たした。

 漫才でもコントでも破竹の勢いの彼らが、M-1とキングオブコントの2冠に輝くという夢の瞬間ももう間近だろう。

圧倒的な敗北感

「ニッポンの社長」のネタを見る度、僕は圧倒的な敗北感を覚える。

 何年熟考しても、どれだけ背伸びしても絶対に思いつかない発想力と、それをリアルな現実へ落とし込み視聴者やお客さんを置いてきぼりにしないストーリー構成……辻の書くネタは超圧巻だ。

 彼と似ている人間を一人、僕は知っている。劇団ひとりさんだ。

 1万人の芸人に聞いて、1万人が「天才だ」と答えるであろう、現代が生み出した最大級のお笑いモンスター・劇団ひとりさん。その後を継げるのは、「ニッポンの社長」の頭脳、辻だと僕は思う。

 もちろん相方のケツも良い。まず芸名を「ケツ」とするあたり、最高にクレイジーだ。演技力もずば抜けているし、きっと近い将来ドラマや映画に引っ張りだことなるだろう。

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