96歳になった中国元国家主席「江沢民」 夫人との最新画像が出回って憶測呼ぶ

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メディア露出の意図は

 紀元前3世紀、秦の始皇帝が各地を巡遊し、自らの車列を見せることによって権力を誇示して以来、彼の国では、メディアに姿を見せることで自分の影響力を見せる手法が厳然として残っている。その一方で、新たな指導者が前の皇帝を否定することによって自らの権力基盤を固めるのも常套手段だ。江沢民は自らの功績が否定されないように、まだ元気だと知らしめたいのだろう。

 現在のチャイナセブン・中国共産党最高指導部である常務委員には、王滬寧(67)、韓正(68)という2人の上海閥がいる。今回の写真発表で江沢民がこの二人、もしくはどちらかの再任をアピールしていると見る向きもある。

 江沢民に関して言うと、2011年7月に産経新聞が彼の死去を報道し号外まで出したが、誤報と判明して謝罪・訂正に追い込まれた。それからすでに10年以上が経過している。

 中国の最高実力者と呼ばれた鄧小平が亡くなったのは、97年2月だが、その最後の写真は、94年10月の建国記念日にやはり椅子に座って、花火を見ている姿だった。このときも鄧小平が時の江沢民指導部を牽制しているという見方が専らだった。

 江沢民もそのひそみにならったのかもしれないが、いずれにしろ100歳を目前にしながらも政治的意図を発信していることは間違いない。げに恐ろしきは「死して後已む」彼の国の権力闘争である。

武田一顕(たけだ・かずあき)
元TBS北京特派員。元TBSラジオ政治記者。国内政治の分析に定評があるほか、フェニックステレビでは中国人識者と中国語で論戦。中国の動向にも詳しい。

デイリー新潮編集部

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