【鎌倉殿の13人】善児の弟子「トウ」を演じる「山本千尋」は“令和が生んだアクション女優” すでに日本の三大特撮作品も制覇

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

Advertisement

競技を引退したわけ

 ところが彼女は16歳で競技生活から引退してしまう。きっかけは、2度目の世界一の直前、彼女の活躍を知っている人物から、当時日本テレビ系で放送されていたオーディションバラエティ「スター☆ドラフト会議」に出てみないかと声をかけられたことだった。すると番組を観た人たちから「その能力をアクションに活かせば」とアクション女優への転身を勧められた。直後の世界大会で結果を残したこともあり、競技への思いを断ち切り、「自分が好きだからこそ中国武術をオリンピック競技にしたい。そのためにも自分が少しでもその魅力を広められる立場になりたい」と芸能活動を開始したのである。

 翌13年8月に舞台「時空警察ヴェッカー1983」で女優デビューを飾ることに。さらに14年6月公開の映画「太秦ライムライト」では映画初出演を果たすと同時に、ヒロインの伊賀さつき役に大抜擢された。本作の監督・落合賢はオーディションの際、山本の演技を一目見て「天賦の才がある」と起用を決めたという。そして本作で第3回ジャパンアクションアワードベストアクション女優賞を受賞した。

 その後、ハリウッドのアクション映画女優への憧れもあり、高校卒業後の15年に単身渡米する。当初の予定では1年間ロスで学ぶはずだったが、大ヒット漫画「キングダム」の連載10周年実写特別動画プロジェクト(16年4月公開のショートムービー)の仕事が舞い込み、半年で帰国する。美しき凄腕剣士・キョウカイ 役で出演し、華麗に舞うような剣技を披露した。振り付けは山本に任され、原作を読んで感じた彼女なりのキョウカイを表現したそうだ。太極拳で鍛え上げた肉体を駆使して披露した剣舞姿は、原作ファンの間で大きな話題を呼んだ。

 すると今年7月に公開された映画「キングダム2 遥かなる大地へ」でキョウショウ役で出演することに。6年前に演じたキョウカイ(今作では清野菜名が演じる)が姉のように慕い憧れる存在で、限られた登場シーンながら、キョウカイが素性を隠して戦場に赴いた理由に深く関わっている存在だ。アクション女優としても定評のある清野が超越した強さを持つキョウカイ役を演じるならば、キョウショウ役にはそれを上回る説得力が必要だった。その点、山本が起用されたのは必然だったといえるだろう。

 日本の三大特撮作品を制覇している点にも注目したい。スーパー戦隊シリーズの15年度作品「手裏剣戦隊ニンニンジャー」へのゲスト出演に始まり、映画「仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー」(16年12月公開)、ドラマ「ウルトラマンジード」(17年7~12月)と立て続けに出演。特に「ウルトラマンジード」ではヒロイン役でのレギュラー出演で、ストイックでクールな鳥羽ライハを演じた。剣術や武術に長けている設定で、まさにうってつけであった。

 18年5月にはNHK総合の土曜時代ドラマ「そろばん侍 風の市兵衛」で念願の時代劇に初出演し、清国からやってきた女剣士役を熱演した。19年4月には人気ドラマ「特捜9」(テレビ朝日系)のスペシャルに正義感の強い検察事務官役でゲスト出演し、刑事ドラマにも初挑戦を果たしている。19年5月公開の映画「チア男子!!」では文科系代表の女子大生役を好演、アクションを一切封印したメガネ女子姿は実に新鮮であった。恋愛モノにも挑戦し、21年4月クールの「着飾る恋には理由があって」(TBS系)では横浜流星の元カノ役で出演するなど、近年ではアクション以外でも目立つ存在になっている。

 今年4月クールには木村拓哉が高校ボクシング部のコーチ役を務め話題となった「未来への10カウント」(テレビ朝日系)にも出演し、ライバル強豪校の女子部員・奥村紗耶役を演じた。高1でインターハイに出場した実力の持ち主という設定だったが、実際に山本は今年1月に日本ボクシングコミッションC級ボクサーライセンスを取得していたこともあって、その強さに説得力があった。

次ページ:代表作を挙げるなら…

前へ 1 2 3 次へ

[2/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。