プーチンがロシア軍人に直接指示の異常事態 専門家は「これで正確な情報はさらに入らなくなる」

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 ロシア・ウクライナ戦争を巡って、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(69)が「自滅」する可能性があると複数のメディアが伝えている。専門家が注目するのは、「BBC NEWS JAPAN」が9月25日に配信した「プーチン氏、国防次官を解任 補給失敗が理由か」という報道だ。

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 BBCの記事には重要なポイントが3つあるという。以下に引用させていただく。

【1】プーチン大統領は9月24日、ドミトリー・ブルガコフ国防次官(67)を解任した。次官は物資補給の担当。補給の混乱が苦戦の原因とされているため、責任を問われた可能性がある。

【2】プーチン大統領はウクライナ戦争で直接指揮を執り、ウクライナ国内にいる将官たちに自ら命令を下し始めたと報じられている。

【3】米当局者は米CNNに「ロシア政府における指揮系統の機能不全が深刻化している」と語った。

 プーチン大統領は軍の人事権を濫用し、作戦にも口出しするようになったというわけだ。これはロシア軍に多大な悪影響を及ぼす可能性があると、ある軍事ジャーナリストは言う。

「古今東西の戦史を振り返ると、軍部の暴走で国家が破滅した例は枚挙に暇がありません。戦前の日本もそうでした。そのため現代の民主主義国家はで、選挙をベースに選ばれた大統領や首相などが軍の人事権などを持ち、暴走を抑止する統治システムを構築しています」

プーチン大統領の暴走

 大統領や首相が安易に軍を使う懸念も根強い。そのため、参戦などに関しては、議会の同意を必要とする国も少なくない。軍隊に対して二重三重のチェック機能を用意しているわけだ。

 ところがプーチン大統領の場合、【1】「補給の不手際」という理由から軍高官を解任した。なおかつ【2】大統領自ら作戦レベルの指示を行うようになった──と報道された。

 この2点は、「軍の暴走を止める」どころか「むしろ大統領の暴走で、ロシアが破滅する」可能性を示唆しているという。

「戦術、作戦、兵站は、絶対にプロの軍人が担当すべき領域です。政治家が関与すると必ず悪影響を及ぼします。人事権を持つ最高責任者が現場に口出しすると、ろくなことにならないのは国家も企業も同じでしょう。プロスポーツが好きな人なら、オーナー、ゼネラルマネージャー(GM)、監督、選手の関係を思い出すかもしれません」(同・軍事ジャーナリスト)

 オーナーはGMにチーム作りを一任する。GMは監督や選手を集めてチームを作る。そして、監督が選手に指示を行って試合に勝つ──これが基本と言っていいだろう。

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