テドロス氏は「ゴールが見えてきた」と言うが…次のパンデミックに備えは不十分、何をすべきか

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「ゴールが見えてきた。勝利できる状態にある」

 新型コロナウイルス感染症のパンデミックについて、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は14日、このように述べた。

 英オックスフォード大学の「アワー・ワールド・イン・データ」によれば、世界の1日の死者数(7日間の移動平均)は今年2月に1万人を超えていたが、足元では2000人未満となっている。

 ワクチンの普及などが主な要因だ。少なくとも1回ワクチンを接種した人の割合は欧米や日本では約8割、世界でも7割に近づいており、感染しても重症化しにくくなっている。現在流行している変異型のオミクロン型は強い感染力を持つが、従来型と比べて毒性が下がったことも関係している。日本では第7波が続いているが、世界ではコロナ対策をほぼ全廃しても、爆発的な死者・重症者の再拡大は起きなくなりつつあるのだ。

 バイデン米大統領も18日に放送されたインタビューで「新型コロナのパンデミックは終わった」との見解を示した。米国の新型コロナによる死者数はバイデン大統領の就任当初は1日当たり3000人を超えていたが、現在は400人弱と大幅に減少していることを踏まえての発言だ。

 新型コロナは2019年12月末に中国・武漢市で感染が確認され、その後瞬く間に世界に広がった。感染者数は6億人、死者数は650万人を超え、20世紀前半のスペイン風邪以来の大きな被害をもたらしている。

 WHOは今後も新たな変異型が流行することを警戒しているが、新型コロナとの長い闘いにようやく終止符が打てる希望が見えてきたのだ。しかし、「次のパンデミックの被害を最小限に食い止める準備ができたか」と問われれば、心許ない状況にあると言わざるを得ない。

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