兵士不足のロシア軍は「刑務所で囚人をスカウト」 戦場に送られた3000人は全滅の異常事態 この冬に敗れる可能性

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「囚人兵」の報道

「5月28日、ロシア政府は『志願兵の年齢上限を撤廃した』と発表しました。従来、志願兵の年齢は、ロシア人なら18歳から40歳、外国人は18歳から30歳と定められていたのです。この上限を法改正で撤廃したのですが、ロシアの一部メディアは『体力などを考慮し、50歳までの入隊志願者を受け入れる方針』と報じました」(同・記者)

 この時点でロシア軍は、国内での兵員補充に支障を来していたようだ。アメリカのシンクタンクも「50〜60歳代の志願兵を中心とした部隊が極東ロシアで編制された」と指摘している。ウクライナに兵力を集中させる必要から、国内が手薄になったのだろう。

「兵士の年齢を考えると、50歳や60歳は立派な“高齢者”です。そんな年齢層の兵士で部隊を構成するというだけでも驚きましたが、7月に入ると更に驚愕の報道が飛び込んできました。ロシアの独立系メディアが『サンクトペテルブルクの刑務所で、民間軍事会社ワグネルが、囚人に対して志願兵の勧誘を行っている』と伝えたのです」(同・記者)

 9月、この報道の信憑性が裏付けられた。BBCが「民間軍事会社のトップが刑務所で兵士を募集している動画が流出」と報じ、《検証の結果、この動画を本物と判断》したと伝えたのだ。

残酷な結末

「ワグネルはプーチン政権に近い軍事会社として知られています。ロシアの独立系メディアは、同社が囚人に『6カ月間の兵役で、釈放と20万ルーブル(約47万円)の報酬』を約束したと報じました。BBCが入手した動画でも、ワグネルの最高幹部が『6カ月働けば自由になる』と囚人に呼びかけている姿が収められていたそうです」(同・記者)

 その背景として、まずはロシア軍がウクライナで甚大な戦死者を出していることが挙げられるようだ。

「ロシア軍は現在に至るまで、1000人単位の戦死者しか発表していません。一方、ウクライナ軍は、5月の時点で3万人の戦死者が出たとする分析を発表しました。また、アメリカの国防総省は8月、ロシア軍の戦死者は7〜8万人と推計しています」(同・記者)

 兵員不足は深刻で、囚人を“勧誘”しているのではなく、実際は“強制”だという指摘もある。いずれにしても、彼らを待っていたのは、まさに残酷な現実だったようだ。

「ロシアに受刑者の支援団体があり、独立系メディアの取材に応じたのです。団体の分析によると、ワグネルと契約を結んだ囚人は約3000人。10日間から2週間の訓練で前線に送られたものの、ほぼ全員が戦死したと結論づけています」(同・記者)

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