通園バス3歳児死亡、「へらへら園長」の知られざる素顔 同級生は「ボンボンで口下手」

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変な笑い方をする癖

 増田理事長の同級生が振り返るには、

「彼の父は海軍の兵学校を出たとかで、とにかく厳格な人。対照的に2代目の彼はボンボンで苦労を知らずに継いだ格好です。理事長、園長とか肩書きは立派だけど、昔から口下手でぶっきらぼう。思ったことをすぐ口にしちゃうタイプなんだけど、根は真面目ですよ」

 別の同級生に尋ねても、

「立義君(増田理事長)は会見で保護者が激怒するのも当然の回答をしていましたよね。確かに私もまずい受け答えだとは思いましたが、彼は中学生の頃から話をした後に変な笑い方をする癖がある。誤解を招くような笑い方をしてしまう。だから会見でも緊張しちゃって、余計に変な癖が出たのかなと……」

 そう庇うのだが、増田理事長を知る地元の政界関係者はこう明かす。

「今冬に入ってから、増田理事長はえらく痩せてしまってね。なんでもがんになって1カ月くらい入院して手術で内臓を取ったと話していた。今にして思えば、バスの運転なんてして大丈夫だったのかと考えてしまうよね」

“引退”を考えていた

 実際、事件が起こる前に増田理事長は体力の限界を自覚して“引退”を考えていた節があるというのだ。

「あいつは日頃から宴席が好きで、旧友たちを呼び集めてワイワイするのを楽しんでいた。同級生たちの動向を一番把握していたんじゃないかな。たくさん飲むタイプではなかったけど、がんを患ってからは酒もきっぱりやめてしまってね。一時期は気落ちもしていたけど、最近はだいぶ回復はしてきていた。それでも73歳になったし、いつ辞めようかと考えていると言っていた。息子さんたちの代に引き継ぐつもりだったと思う」(別の同級生)

 すでに増田理事長の長男は、件の学校法人で事務長として経営に参画。別法人も立ち上げ、いくつもの保育園を運営するなど、多角化に貢献しているという。

「少子化の時代を見据えて、先手を打って子供たちの囲い込みをしないといけない。そういった経営的な危機感があったのだと思います」

 と話すのは、増田理事長と親交のあった地元市議。

「牧之原市は市内にある保育園のうち二つを、増田理事長の学校法人に委託しましたがね。実は三つ目の園の委託にも増田理事長のところは手を挙げて、市議会から待ったがかかったんです。“さすがに独占的すぎるのではないか”といった懸念の声が他の市議たちからも上がり、結局は否決されました。やはり無理に事業拡大すれば人件費などが削られるでしょうし、運営がずさんになる。しわ寄せを食うのは児童であり保護者なわけですから」

 奇しくも、市議たちの危惧は最悪の形で現実のものとなってしまった。

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