電気料金の抑制に不可欠な原発再稼働 全く目途が立っていない「柏崎刈羽」「東海第二」原発で政府がやるべきこと

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政府が関与すべき

 7基のうち5基は、地元の同意を得て来年夏以降に再稼働する見込みとなりつつあるが、その目処がまったく立っていないのが、東京電力の柏崎刈羽原子力発電所と日本原子力発電の東海第2原子力発電所だ。

 岸田総理は「政府が前面に立って地元の理解を得るための対応を行う」と強調しているが、政府は何度もこの決まり文句を繰り返しており、「掛け声倒れに過ぎない」との冷ややかな声が聞こえてくる。「電力会社が再稼働に必要な地元の同意を得るのを支援する」というが、政府はこれまでも側面支援をしており、新たなにどのような対策を講じるのかが見えないからだ。

 総論を唱えるだけでは現状を打開できないことにかんがみ、筆者は「再稼働の障害となっている個別の問題について政府が積極的に関与すべきだ」と考えている。

 東京電力の柏崎刈羽原子力発電所6~7号機について規制委員会は8月中旬、設置するテロ対策施設についての基本設計に関する安全審査の合格を正式決定した。同発電所は2017年に規制委員会の審査をパスしており、今回の決定で再稼働に向けてのハード面での整備は進んでいるが、ソフト面でのテロ対策の不備が足かせとなり、再稼働の時期が見通せない状態が続いている。

 同発電所では、所員が他人のIDカードで中央制御室に不正に入ったり、複数の侵入者検知装置が長期間故障したままで放置されていたことなどテロ対策の不備が相次いで発覚した。この事態を深刻に受け止めた規制委員会は昨年、核燃料の移動禁止命令(事実上の運転禁止命令)を発出し、再発防止に向けた検査を実施しているにもかかわらず、今年7月下旬に新たなテロ対策の不備が発覚してしまった。東京電力本社の社員が発電所内にある核物質防護(テロ対策)に関する情報を無断で持ち出していたのだ。

 なぜこのような不始末が相次ぐのか不思議でならないが、東京電力に任せていたらいつまで経ってもテロ対策は万全にならないだろう。

 素人の暴論かもしれないが、政府でテロ対策を担う警察庁などが積極的に介入することでしか東京電力が抱える深刻なヒューマンエラーを阻止できないのではないだろうか。

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