巨人の選手はなぜ「紳士たれ」の逆を行ってしまうのか 時代に合わない「成績こそ全て」という価値観

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「紳士たれ」の言葉の意味とは 成果主義の男社会ではストレス解消の道具と正当化される女遊び

 創設者の正力松太郎氏による「巨人軍は常に紳士たれ」という言葉は有名だが、選手や監督らのスキャンダルは毎年のように出ている。昨年は暴行問題を起こした中田翔選手が、たった10日間の謹慎処分後に巨人へ電撃移籍し議論を巻き起こした。さらに不倫となると1軍作戦コーチの阿部慎之助氏、2軍監督の二岡智宏氏、元1軍作戦コーチの吉村禎章氏、そして原辰徳監督も世間を騒がせた。坂本選手を叱るどころか、返す刀で斬られてもおかしくない。

「紳士たれ」というのは、「球界の模範たれ」ということだという。ゆえに巨人軍では長髪やヒゲは禁止だというが、外見を整えたところでモラルの有無は別問題である。翻ってスポーツ選手である以上、いくら人格者であろうと結果を出せなければ意味がない。だから選手やチームとして「模範」となる成績を出すことが最優先で、人間としての模範は二の次というのが球団内での認識なのではないだろうか。

 試合に勝つため厳しい練習に励む分、オフはちょっとくらい羽目を外したっていい。だから、女遊びは芸の肥やし的な発想につながりやすい。オレたち天下の巨人軍なんだから、多少のことは目をつぶってもらえるよね、と自分の行動を正当化する傲慢さ。いや、目をつぶってもらう方法はいくらでもあるよ、と指南する文化があったのではと疑ってしまう。

 報道を受けて元巨人軍の笠原将生氏は、「女が悪い」と自身のYouTubeで発言。「周囲から女性を妊娠させてしまった体験談をいくつも聞いてきた」「マックスで15人(妊娠させたと)聞いた、全員堕ろしたって」と暴露している。彼も現役中に野球賭博で球団を追われ、その後もトラブルを起こしている身だ。再生数欲しさに話を盛ったのかもしれないが、中絶させた女性の人数を自慢げに語り合う文化が事実なら絶句する。ヤンチャ自慢で連帯感を強める男性集団は、紳士からほど遠い。

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