女性刑務所は「前歯のない人が多い」 元受刑者が語る殺人犯と並んで浴びた「15秒シャワー」

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センセイ

 私服や私物を預け、代わりに黒色のジャージの受刑者服を手渡される時、「いよいよ塀の中に堕ちてしまった」と感じるのだという。同時に与えられるのが称呼番号。よくドラマなどでは名前ではなく番号で呼ばれる描写があるが、

「少なくとも女子刑務所ではそんなことはありません。センセイからは普通に『万年さん』と呼ばれます。点呼などの時は『284番、万年さん』。悪さすると呼び捨てにされることもありますが」

「センセイ」とは女性刑務官のこと。男子刑務所では男性刑務官のことを「オヤジ」というが、女性刑務所では女性刑務官のことをこう呼ばされるという。このセンセイとの相性が今後の刑務所暮らしを大きく左右するのだ。

「工場での働き方が変わってきます。私は最初に配属された紐を扱う作業が嫌でしょうがなかった。老眼なので細かい作業ができないんです。老眼鏡を貸してほしいとお願いしたんですが、貸し出し中で出来ないと言われ、結局、担当のセンセイとも衝突。作業放棄をしてしまい、一カ月の懲罰に行かされました」

”月給”はたったの9000円

 懲罰になると一週間、何もない単独房のなかで一日中座らされる罰を受ける。最初はセンセイと折り合いが悪かった万年さんだが、その後別のセンセイから気に入られたため、「作業係」と呼ばれる受刑者の仕切り役に大抜擢された。

「仕事は格段に楽になりました。配属されたばかりの新人刑務官はわからないことがあったら作業係に聞いてくる。彼女たちの面倒を見ていると、彼女たちが慣れてきたら良くしてくれるのです。同僚の受刑者たちからは妬まれてしまいますけどね。等級が上がると報奨金の時給も上がります。最初は1日8時間週5日働いて月に4、5000円くらいでしたが、最後の方は9000円くらいでした」

 職場と同じくらい重要になるのが舎房での暮らしだ。10畳ほどのプライベートのない空間の中で6、7人が共同生活を送る。同居人はどんな面々なのか。

「一番初めに入った部屋は、80代と70代の殺人犯、50代と40代の窃盗犯、40代のポン中(覚醒剤中毒者のこと)、罪名を絶対に明かさない50代といったメンバーでした。まったく人付き合いができずに、自由時間はいつも一人で読書していました」

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