「山口組」分裂から7年 神戸山口組側の「カネ・カネ・カネ批判」に正義はあったのか?

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洋服を買わされるよりはマシ

「そうなんです。弘道会方式というのはこの5代目時代の反省に立って、トップやその一族ではなく組織全体が潤うやり方を追求した結果だとも言われました。少なくとも水などの日用品は普段の生活で使いますから、趣味の合わない洋服を買わされるよりはマシだという考え方もできますよね」

 竹垣氏自身、5代目時代のこういった経験があったから、井上組長らが脱退する理由に当初から疑問を抱いていたという。

「5代目時代は1989年から2005年まで続きましたが、末期は体調を崩し半ば隠居のような状態にありました。井上組長は懲役17年の判決を受けて2000年まで服役しており、一連のトワイライト時代やその内実をよく理解していなかった可能性も指摘されています。逆にある程度のことをわかっていれば、脱退の理由として一も二もなくカネの搾取を挙げることはなかったんじゃないかと感じますね」

 井上組長らの取った行為は逆縁と言って、ヤクザ界では最も非難されるものだ。

甘い汁と身内への甘さ

「井上組長側は自分たちにこそ正義があると言いたかったのでしょうが、先ほど触れたようにその後の展開を見ていると、“自分たちが甘い汁を吸いたかっただけではないか”といった声には一理あるように思います。また、渡辺組長は2代目山健組の組長で井上組長は4代目山健組の組長ですし、渡辺組長が立ち上げた健竜会の4代目でもあり、その時代を美化するのでは、“身内に甘い”とのそしりは免れないでしょう」

 暴力団らしからぬ理想を掲げるまでは良かったが、ある意味でカネのことを軽視した神戸山口組側はその後、カネのことで泣かされ、組織の弱体化を招くことになる。

デイリー新潮編集部

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