数年前までは多かったのに… 近ごろ、連続ドラマの「打ち切り」がなくなった“業界の事情”

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 連続ドラマの視聴率が極端に悪いと、「打ち切りか」と囁かれる。では、打ち切りは誰が決めているのか。水面下ではどんな動きがあるのだろう。7月期ドラマの中で打ち切りが取りざたされる作品はあるのだろうか。

2010年代半ばまでは多かった連ドラの打ち切り

 2010年代半ばまでは打ち切られる連ドラが珍しくなかった。例えば11回放送のはずが8回で打ち切られた2012年のフジテレビ「家族のうた」(主演・オダギリジョー、全話平均世帯視聴率3.9%)である。

 2013年のTBS「夫のカノジョ」(主演・川口春奈と鈴木砂羽、全話平均世帯視聴率3.8%)もそう。9回放送の予定が8回になった。

 あらかじめ断っておきたいが、低視聴率の理由が主演者にあると考えるテレビマンはいないと思って間違いない。ドラマは脚本第一。低視聴率の原因は企画と脚本にあるというのが古くからの常識である。

「家族のうた」でオダギリが演じた主人公のミュージシャンは自由人すぎて、なんとも共感しがたかった。

「夫のカノジョ」はOL役・川口とその上司の妻役・鈴木の体が入れ替わってしまう。荒唐無稽でコミカルな設定なのだが、物語には妙にシリアス色が強いところがあり、感情移入が難しかった。やはり、両作品とも企画と脚本に難があった。

 2010年台半ばまで打ち切られる連ドラが多かったのはなぜか? その理由の1つは、当時は世帯視聴率が絶対視され、「10%なら合格、5%なら打ち切り」という暗黙の了解があったから。

「口約束ながら常にスポンサーには『(世帯視聴率で)2ケタは獲れます』と説明していた。その半分の5%前後だと局内で打ち切りが取りざたされた」(元民放幹部)

 今は違うという。

「2年前から、観た人の実数が分かる個人視聴率とそれに基づくコア視聴率(基本的に13歳から49歳の個人視聴率)が指標になったから。世帯視聴率が打ち切りの基準になることはもうない」(現役民放幹部)

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