統一協会「文鮮明」を無理やり入国させた金丸信の大罪 今なら政権が吹っ飛ぶ大スキャンダル

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金丸の死去

 インタビュー記事が掲載されてから4カ月後の8月、東京佐川急便から金丸に対する5億円の闇献金、いわゆる東京佐川急便事件が発覚した。

 政治資金規正法違反を認める上申書を提出し、9月に罰金20万円の略式命令が出たことで幕引きを図った。だが、明るみになった巨額の蓄財や刑罰の軽さを世論は許さず、金丸は10月に議員辞職せざるを得なくなる。

 当時も全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の元には、統一教会による霊感商法の被害相談が殺到していた。91年だけで約1800件、被害額は約92億円だったという。

 こんな大問題を引き起こしている宗教団体に便宜を図ろうと、政治家が法務省に圧力をかけたとなれば大問題だ──全国弁連は金丸に公開質問状を送り回答を求め、衆参両院議長に国会での証人喚問を請求したが、いずれも実現しなかった。

 ただし、収穫もあった。法務省は公式に金丸の働きかけを認め、自民党の国会議員6人からも特別入国を求める要請状が出されていたことを明らかにした。

 1996年3月28日、金丸は脳梗塞で死去した。なぜ文鮮明と密接な関係を持ったのか、朝日新聞社のインタビューには応じたものの、全容を明らかにしたとは言いがたい。秘密を墓まで持っていったことになる。

旧田中派の意外性

 ベテランの政治記者は、「戦後の政治史を考える上でも、金丸さんが文鮮明と深い関係を結んでいたという事実は、非常に重要だと思います」と指摘する。

「少なくとも現時点で、統一教会と密接な関係を持っていた自民党の国会議員は、清和政策研究会=安倍派に集中しています。例えば、国際勝共連合の創設に岸信介さんが深く関わり、それは福田赳夫さん(1905~1995)、そして亡くなった安倍さんにも引き継がれました。ところが金丸さんは、清和研の国会議員ではありません」

 金丸の“ホームグラウンド”は、田中角栄(1918~1993)が創設した「七日会」(のちの「木曜クラブ」)だ。しかし1985年、竹下登(1924~2000)と共に反旗を翻し、勉強会「創政会」を結成する。

 竹下派の結成を意図しているのは明らかで、田中は阻止しようとした。だが田中は脳梗塞を発症し、政治生命の危機を迎える。

 これで竹下の“クーデター”は成功し、87年に経世会=竹下派が誕生した。その後の平成研究会で、現在のトップは自民党幹事長の茂木敏充(66)だ。

汚染は自民党全体?

「旧田中・竹下派の流れを組む平成研の国会議員は、統一教会とは距離を置いているイメージがあります。親台湾の清和研と違い、平成研は中国本土を重視する傾向があります。共産主義を敵視する清和研はタカ派ですが、旧田中・竹下派はハト派で知られていました。ところが、金丸さんも文鮮明と関係を持っていたとなると、自民党全体が統一教会に汚染されていたと言ってもよいのではないでしょうか」(同・政治記者)

 8月2日、幹事長の茂木は記者会見で、自民党と統一教会は「一切の関係を持っていないことが確認できた」とし、調査の必要性を否定した。世論が反発するのも当然だろう。

註1:現在の名称は「世界平和統一家庭連合」だが、本稿では「統一教会」とした。

註2:本稿の引用文は、漢数字を洋数字に改めるなどデイリー新潮の表記法に従った。

デイリー新潮編集部

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