青春18きっぷで巡る「ご当地グルメ」「鉄道遺産」の旅 オススメプラン5選

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 10月14日、日本の鉄道が開業150年の節目を迎えるのを前に、鉄路の歴史を巡る鈍行旅がオススメだ。強い味方は「青春18きっぷ」。年齢不問でお得となれば、ゆっくり汽車に揺られる旅に出かけてみては。

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 1872(明治5)年10月14日、日本で初めての鉄道が新橋―横浜間で産声を上げた。開業当時は蒸気機関車や客車、レールに至るまでが外国製で、実際の運転を担当していたのもお雇い外国人。それから150年の歳月を経て、令和の日本は世界に誇る鉄道大国となった。新幹線から山手線の通勤電車に至るまで車両は国産が当たり前。秒刻みで運行される正確なダイヤは日本の国柄として各国から称賛されている。

 そこに至るまでの先人たちの叡智は、日本各地に「鉄道遺産」として残され、近年は産業遺構としても注目を集めている。記念すべき鉄道開業150年の夏は、鉄道に乗ってそれらを巡る旅に出かけてみてはいかがだろうか。乗るのはあえて鈍行列車。各駅に停まる列車でこそ、長い歳月をかけて築かれた鉄路の歩みをしのぶことができる。おまけに夏休みとなれば、気軽にお得に鉄道旅行が楽しめる切符が用意されているのだ。

使用する際のコツは

 その名は「青春18きっぷ」。学生向けに作られたチケットゆえ大人は使うのがはばかられるネーミングだが、年齢制限はナシ。しかも全国のJR線が普通・快速列車に限って乗り降り自由。春、夏、冬の年3回発売され今夏は7月20日から9月10日まで利用可能なので、今から購入しても秋口までたっぷり旅ができる。

 注意したいのは、利用を始める駅から1日あたり2410円以上の運賃がかかる駅まで乗らないと損をしてしまうこと。チケットは5日分または5回分使えて総額1万2050円だから、日割り換算すると1日あたり2410円。日帰りなら往復運賃、1泊以上の旅行なら片道運賃で「2410円の壁」を超えれば元が取れる。いちいち運賃計算が面倒という方には、東京駅と大阪駅を起点にした掲載の図や、ウェブ上にある各種運賃計算サイトを参考にされたい。

「青春18きっぷ」のイロハを理解できたら、さっそく「鉄道遺産」を巡る汽車旅を仮想体験してみよう。

鉄道の原点

【東京発日帰り】「鉄道原点」を訪ねる東海道線の旅

 旅の始まりは日本の鉄道の起点である東京駅から。1914(大正3)年に造られた赤レンガの駅舎は、建築家・辰野金吾の代表作として知られる。東京大空襲で焼失し戦後長らく仮の姿で鎮座していたが、2012年に創建当時の姿に復元された。その際、丸の内駅前広場に、ある人物の銅像が再配置されたことをご存じだろうか。銅像のモデルは井上勝。幕末、伊藤博文らと国禁を破り渡英した“長州ファイブ”の一人だ。ロンドン大学で学び維新後に帰国。新政府に出仕して、岩倉具視らと鉄道建設を推進し、“鉄道の父”と呼ばれた。

 そんな井上翁に敬意を表した後、東京駅から東海道本線に乗って最初に下車するのはお隣の新橋駅だ。150年前、ここから日本の鉄道は始まったが、最初の駅舎は現在の新橋駅から200メートルほど東側にあった。そこに今は当時の駅舎を模した「旧新橋停車場鉄道歴史展示室」が建ち、ホームの一部などが見学できる。

 日本の鉄道の原点に触れた後は、いざ横浜へと向かおう。日本初の鉄道は現在の京浜東北線のルートとほぼ軌を一にして新橋駅と横浜駅の間を結んだ。より正確に言えば、開業時の横浜駅は外国船の寄港地に近い現在の桜木町駅の場所に建っていた。駅前のJR桜木町ビルには、開業の際に使われた「110形蒸気機関車」の実物が展示されている。1871(明治4)年に英国で作られた小ぶりのSLは、馬よりも速い“陸(おか)蒸気”として、江戸っ子の度肝を抜いたという。

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