フランスで統一教会は「反セクト法」で“過去の遺物”に 一方、創価学会は今も熱心に活動中

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人権とセクト

 アメリカの状況と比較すると、フランスの反セクト法の厳しさや法律が持つ“精神”が理解しやすくなるという。

「アメリカでは、憲法修正第1条で、宗教を特別視しています。アメリカの法制度は信仰の自由を絶対視する傾向があります。銃と同じです。セクト=カルトの疑いがある団体でも、宗教と名乗れば許されてしまうのです」(同・広岡氏)

 一方のフランスは、1789年、神から授けられたものとしてではなく、人間の理性の産物として「人権宣言」を制定したという歴史を持つ。史上初めて宗教とは離れた“人権”という概念を樹立したのだ。

「反セクト法は『宗教団体にブレーキをかける』ために制定されたのではありません。『人権を抑圧する組織は認めない』という考えが根本にあります。ですから対象は宗教団体に限りません。マルチ商法でもセラピーでも企業研修でも同じです。例えば今、フランスに連合赤軍のような組織があれば、対象となるでしょう。参加メンバーの人権を蹂躙するような組織は許さない、というフランス人の強い決意が浮き彫りになっていると言えるのではないでしょうか」(同・広岡氏)

ヒジャブの問題

 政教分離という言葉も、日本では少し誤解されている点があるという。

「政治家で敬虔なキリスト教徒がいたとして、フランスでは当たり前のことです。キリスト教をベースにした政党や労働団体も普通に活動しています。宗教団体であっても『人権を抑圧しない組織』ならば、堂々と政治の世界に参画することができます」(同・広岡氏)

 フランスの場合、反セクトの追求が行きすぎてしまうこともある。国内のイスラム教徒に過度な“政教分離”を求めるようなケースだ。

「イスラム教徒の女性が顔を隠す“ヒジャブ”の着用を巡り、フランスで議論が起きていることは日本でも報道されているでしょう。実は、フランスのイスラム教徒は、移民の人も含め誰もスカーフも被っていません。しかし、過激派が出てきたために、ヒジャブ姿の人が出てきたのです。“反ヒジャブ”を強く主張しているのは、いわゆる極左と極右、キリスト教原理主義の政治家や支持者です」(同・広岡氏)

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