君津「4人死傷事件」 元「教会」100平米邸宅に住む10人家族に何が起きたか 駆けつけた捜査員が見た修羅場

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火の手のなかで揉みあいに

 お盆休みの最中に起きた痛ましい惨事――。事件当夜の緊迫した様子を、近隣住民が振り返る。

「この辺りは新興住宅街で商店もまばらなので、夜中はとても静かなんです。それなのに、真夜中にパトカーと救急車のサイレンが鳴り響いてね。その音に驚いて跳び起きたら、今度は消防車が何台も連なってやってきた。それで“火事だ!”と思ったら、翌朝のニュースを見てびっくり……。あの家で“殺人事件”が起きていたなんて思いもしませんでしたよ」(近所の住人)

 出火元となった千葉県君津市のこの住宅から、「息子が親族にナイフで刺された」と119番通報があったのは15日午前3時過ぎのことだった。被害に遭ったのは世帯主の男性(43)と、その長男(22)、次男(15)。いずれも刃物で胸や首を刺されて重軽傷を負っており、通報したのは男性の妻だった。そして、もうひとり、被害に遭った男性の弟・坂上卓さん(40)も右鎖骨辺りを刺されて命を落としたのだが……。

「通報を受けて署員がこの家に駆けつけると、2階の廊下で男性と坂上さんが揉みあいになっていた。すぐに署員が割って入って、刃渡り17センチの包丁を握っていた坂上さんを取り押さえています。その際、すでに2階の奥から火の手が上がっていたようです」(社会部記者)

 坂上さんは搬送先の病院で死亡が確認された。県警は目下、亡くなった坂上さんが、親族3人を刺したとみて捜査を進めている。

 事件現場の住宅には、男性とその父親、妻と子どもたち6人、そして、坂上さんの10人が同居していたとみられる。果たして、この大家族に何が起きたのか。

屋根には十字架が立っていた

 この地域で40年以上暮らす女性が語るには、

「あのお宅は、いわゆる日本家屋とは少し造りが変わっていて、正面から見るとモダンな洋館のような佇まいでしょう。というのも、もともとは海外からいらした宣教師さんが建てた家だったから。当時は、宣教師さんのご一家が住んでいて、教会としても使われていた。今回の火事で焼け落ちた屋根の上に、十字架が立っていたことも覚えています。そんな家で流血沙汰が起きて、大火事になるなんていまでも信じられません」

 その後、住宅は建築会社の社員寮となり、事件の当事者となった10人家族が住み始めたのは、いまから20年近く前のことだったという。

 別の近隣住民が声を潜めて語る。

「亡くなった男性と、お兄さんはハウスクリーニングで生計を立てていたと聞いています。付近の会社から仕事をもらう下請け業者だったとか。家の近くで子どもたちがローラースケートで遊んだり、お母さんと一緒に買い物に出かける様子をよく見かけたし、家族仲が悪かったという話は聞かないですね」

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