12年ぶりに復活するお笑いフェス「LIVE STAND」 通常のお笑いライブとはどこが違うのか

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 音楽の世界では、大きな会場に多数のミュージシャンが集まる「フェス」が人気を博している。アメリカのロック・フェスティバルから始まったこの文化は日本でもすっかり定着していて、「FUJI ROCK FESTIVAL」「SUMMER SONIC」など多くのイベントが開催されている。

 実は、お笑いの世界でもこのようなフェスが行われていたことがある。2007~2010年に開催された吉本興業が主催する「LIVE STAND」である。このイベントは東京と大阪の2カ所で行われ、それぞれの会場に複数のステージが設けられていて、それぞれ別々の企画ライブが同時に進行していた。観客はその間を自由に行き来しながら楽しめるようになっていた。

 当時、私も東京会場の幕張メッセに足を運んだことがあった。会場は屋内だが薄暗くなっていて、どちらかと言うとお笑いライブというよりは音楽ライブのような雰囲気だった。

 広い敷地内がいくつかのスペースに区切られていて、個々にライブが行われていた。会場が広いのでそれぞれの音が重なって聴き取りづらくなるようなことはなかった。

 一般的な音楽フェスと同じように、座席は用意されておらず、観客は立ったままライブを見ることになる。この点が通常のお笑いライブとは大きく異なる部分である。

 お笑いライブは座って鑑賞するのが一般的なスタイルである。なぜなら、笑いというものは頭で考えて理解する要素が大きいからだ。音楽の場合には、頭で理解するというよりも「体で感じる」という要素が強い。たとえば、ある人が歌っている歌の歌詞が聴き取れなくても、その音楽自体を味わうことはできる。だが、漫才などのお笑いのネタは、言葉が聴き取れなければ、そもそも意味がわからないので笑えなくなってしまう。

 さらに言うと、お笑いライブには会場の広さに適正な規模というものがある。音楽ライブは何万人も入るドーム会場などで行われることもあるが、お笑いライブはそこまで大きな会場で行われることはほとんどない。大きすぎる会場では、客席の前と後ろで音の届くタイミングがズレるため、笑うタイミングもズレてしまうことになる。そのため、会場全体が同時にドカンと笑う、というような状況が作りにくい。お笑いというのは、本来は大きな会場には向かないものなのだ。

 でも、何もかもが無理だというわけではない。たとえば、音楽を使うネタは、音楽ライブのような感覚で楽しむことができるかもしれない。また、エンディングなどで大勢の芸人が一度に舞台に上がるような場合には、会場の規模が大きい方がスケール感があって盛り上がるかもしれない。

 日本のお笑い文化のリーディングカンパニーである吉本興業としては、笑いを楽しむための新しい試みとして、この「LIVE STAND」に可能性を感じていたのだろう。

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