記者が見た第7波直撃の「フジロック」”大声禁止”でも酒が入れば絶叫してしまう中高年たち

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 今年もまたこの季節がやってきた。新潟県苗場スキー場で毎年開催される「フジロックフェスティバル」である。昨年に引き続き、今年も感染拡大真っ只中での開催となった日本最大級の音楽フェス。記者が会場で目にしたのは、酒に酔いどれ、大声でストレスを発散する中高年の観客たちだった。

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4組が感染などを理由に直前キャンセル

 一昨年は中止、昨年も規模縮小とコロナに泣かされてきたフジロック。春先に感染者数が一旦落ち着いたのを見て、関係者は「今年こそ通常再開へ」という思いだったであろう。だが、気づけば「第7波」の真っ只中。その影響かTwitter上には、チケットを「行けなくなったので半値で譲ります」などの書き込みが散見された。

 さらに土壇場で、紅白にも出場したユニット「YOASOBI」や韓国のロックバンド「Say Sue Me」など4組がコロナ感染のため出場辞退を発表。雲行きが怪しいなかでの開催となった今年はどんな盛り上がりを見せるのかーー。昨年に引き続き記者は、初日の7月29日に苗場スキー場を訪れた。

 最寄りの駐車場に着いたのは正午ごろ。駐車場には「品川」「練馬」「横浜」「湘南」など関東圏のナンバーが、ぎっしり並んでいた。会場までのシャトルバスに乗る際に、体温チェックと消毒が求められるのも去年同様だ。

 会場に着くと、真っ青に晴れた空と山々に囲まれたステージに向けて歩く長蛇の列が視界に入ってきた。昨年同様、いやそれ以上の人出である。

今年もダフ屋が出迎え

 一年ぶりに帰ってきたーー。そんな感慨に浸るのも束の間、「(チケット)余ってない?」と声をかけてきたのは、いつもの「ダフ屋」だった。

「今年は急に来られなくなった人が多いから三日券が余ってんだ。1日券だけ欲しいの? だったらこの三日券(定価・4万6000円)を2万円でいいよ。その代わり、今日の帰りにちゃんと戻してくれる? そしたらもう2千円渡すから」

 もちろん購入はしなかったが、なぜ3日券が余っているのだろうと考えた。やがて、人波を見るうちに合点した。
 
 昨年より明らかに30〜40代の観客が増えている。4、5人の仲間連れや子連れ。夫婦や単身者……。昨年は若者だらけだった。医療体制の逼迫が叫ばれる中での開催だったので、中高年たちは遠慮したのであろう。だが、”今年こそは行ける!”、そう踏んだ往年のフジロッカーたちがチケットを買いあさった後に襲いかかってきたのが第7波だった。

 ちゃんと会社勤めをしている社会人であればこそ、慎重に考える人も多かったのだろう。実際、感染してしまった人もいるに違いない。だから、大損をしてでも泣く泣くネット上で譲渡する動きが起きていたのではないだろうか。

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