「六本木クラス」で辛口コラムニストが感じた日韓格差 それでも1つだけ希望はある

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オリジナルが傑作でもない

アナ:「六本木クラス」はNetflixがすでに日本国内向けに配信を始めていますが、字幕や吹き替えなどで海外版の制作が進めば、世界に配信される可能性もあります。

林:両方の「クラス」を見比べたり、「梨泰院」を「予習」してから「六本木」を見たりすれば「2倍楽しめること必至だ」と、テレ朝の番宣サイトに書かれていて、ワタシゃ泣き濡れたよ。「スター・ウォーズ」の1作目(1977年)と東映の「宇宙からのメッセージ」(1978年)を見比べたり、「宇宙から~」で予習して「スター・ウォーズ」を見たりしたワタシたちは、日米の格差を見せつけられて笑うしかなかったけれど、あれから45年経って今度は日韓の格差を実感! だからね。ぢっと手を見ざるをえない。

アナ:「宇宙からのメッセージ」については、私から詳しく申し上げるのも憚られますので、皆さんにはネットで検索してくださいとお願いするしかないのですが……、なるほど、「梨泰院クラス」が「スター・ウォーズ」で「六本木クラス」が「宇宙からのメッセージ」という見立てですか。

林:さらに言えば、「梨泰院クラス」からして「スター・ウォーズ」級の名作・傑作というわけじゃないんです。「Netflixで大人気」とか宣伝されてますが、元々は韓国のネットコミックを原作として韓国のケーブルTV局が制作したローカルなドラマで、筋立ては庶民による財閥への復習という“いかにも系”だし、制作にものすごくカネが掛けられるわけでもない。そういうドラマをネトフリが世界に配信したら当たったので、ニッポンでリメイクしてみました、が、オリジナルの出来や評価に届かなそうです──という流れは、「宇宙からのメッセージ」よりさらにトホホじゃない?

アナ:私までなんだか寂しくなってきました。

ストーリーは変えられない

林:パンドラの匣じゃないけれど、「六本木クラス」の蓋が開いてみて、そこから落胆とか諦念とか寂寞とか悪口とか飛び出していった後、今ワタシの中には一応、希望も残っています。

アナ:おお! その希望とはどんなものですか?

林:リメイク版の脚本がオリジナル版に縛られず、そこから離れて飛んで、いい意味において独自の展開を見せることです。

アナ:第2話まではオリジナル版に沿った筋立てになっていますが、「六本木クラス」は全13話の予定ですから、まだ可能性は残っていますね。

林:日韓共同とかNetflixでも即配信とか、テレ朝だけじゃ決められないことがいろいろありそうな制作体制で、「全13話と長いけれど、視聴率が悪いままでも途中打ち切りとかできないんじゃないの?」なんて陰口も聞こえるくらいだから、ストーリーが大きく変わる確率は低そうなのよ。でも、脚本を担当する徳尾浩司は、「おっさんずラブ」(テレ朝系・2016年~)とか「私の家政夫ナギサさん」(TBS系・2020年)とか、原作をうまくアレンジして面白いドラマを書ける人なので、そこに希望の種があるかなと。ま、「チア☆ダン」(TBS系・2018年)も、ベースとなる映画があっての徳尾脚本ドラマで、あれは酷評しちゃったけどね。

アナ:手放しの期待ではないと。

林:香川照之と早乙女太一が率いる長屋グループへの仕返しは、なんと8話目くらいで完了──香川・早乙女のダブル土下座でレッツ・ゲット・ドゲザー!──しちゃって、第9話からは、低視聴率ドラマのテコ入れでよくある「新章突入」(笑)、長屋グループは韓国の長家グループに買収され、オリジナル版の敵役がラスボスになります!──なんて展開になってくれないかなぁと。

アナ:「それはない!」というツッコミが今、各方面から一斉に入ったのが聞こえました。幻聴でしょうか。

林:で、ラスボス役のユ・ジェミョンが第8話までの「六本木クラス」を見返しながらニッポンをクソミソに貶すわけよ、「何がクール・ジャパンだ。フール・ジャパンじゃないか!」「どうしてイルボンがウリナラに追い抜かれたのか、よく考えろ!」「もっと壺を買え! もっと合同結婚式に来い!」とか。

アナ:大炎上必至です。

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