外務省官僚を死に追いやった横浜・風俗店「ハーフマダム」の正体 元公安警察官は見た

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 日本の公安警察は、アメリカのCIA(中央情報局)やFBI(連邦捜査局)のように華々しくドラマや映画に登場することもなく、その諜報活動は一般にはほとんど知られていない。警視庁に入庁以後、公安畑を十数年歩き、数年前に退職。昨年9月に『警視庁公安部外事課』(光文社)を出版した勝丸円覚氏に、ソ連のスパイだった“風俗店のマダム”について聞いた。

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 1955(昭和30)年6月、警視庁公安部外事1課と神奈川県警は横浜市の風俗店「国際観光サービスクラブ」を売春等取締条例違反容疑でガサ入れし、店の経営者だった佐々井光子(当時30)を逮捕した。その後、刑事特別法違反(米軍の安全を害するために米軍の機密情報を盗んだ場合、10年以下の懲役に処することができる)容疑が付け加えられた。

「佐々井は、ソ連のスパイでした。彼女は、その前年にアメリカへ亡命した駐日旧ソ連大使館のラストボロフ二等書記官から指令を受けていました」

 と語るのは、勝丸氏。かつて警視庁公安部外事1課に所属していた同氏は、ロシアを担当していた。

「彼女は北朝鮮人の父とロシア人の母の間に生まれたハーフでした。肌は白く、髪は茶色でしたが、黒に染めるとアジア系にも見えた。金髪に染めると白人の美女。なんとも妖艶な女性だったそうです」

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