「SPを2人に増やせないか打診していた」 安倍元総理射殺、警備のどこに不備があったのか

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 撃たれる前の映像を見れば見るほど、警備の不備が素人目にもわかる。特に魔の3秒の放置は信じがたい。警察庁長官の責任が問われずにはすむまい。

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 安倍晋三元総理が選挙遊説中に銃撃されたことに対し、「民主主義への重大な挑戦だ」「言論の自由への攻撃だ」といった声明が相次いで出されたが、今回の事件の本質は、はたしてそこにあるのだろうか。

 近鉄大和西大寺駅前の現場で演説を聞いていた自民党関係者が言う。

「SPは1人だけだったので、エライ手薄やな、と思いました。そのSPは鋭い目で周囲を見ながら安倍さんの周りをウロウロしていました。1発目の銃声のあと反応して、カバンのようなもので安倍さんを守ろうとしましたが間に合わなくて。刃物による攻撃は考えても、数メートルの至近距離から銃で撃たれるとは、考えていなかったのかもしれません。それにしても日本の警備は緩い。日本は安全だと思い込まず、あらゆる攻撃を想定していないと、同じことが繰り返されるのではないでしょうか」

 やはり現場にいた別の自民党関係者も、

「警視庁のSPが1人、安倍さんの周りにいたほかは、奈良県警の警備要員が警戒していましたが、両者の連携がとれていなかった印象です。山上徹也が現れたところで止めるべきが、近づくことを許してしまったのは、油断でしかないでしょ。警備要員が全員前を向いて、誰も後ろを見ていなかったのも変。しかも1発目を撃ってから時間があったのに、その間にどうして取り押さえなかったのか」

 と悔やむのである。

「立っていた場所が悪い」

 この二人の証言がピント外れでないかぎり、問題の核心は「民主主義」や「言論の自由」より、手ぬるい警備にあったことになるのではないか。さる警察庁幹部OBも指摘する。

「まず安倍さんが立っていた場所が悪い。後ろがガラ空きですぐ車道がある。360度開けていて警戒すべき範囲が広すぎます。警護対象者から“ここで演説する”と言われたら、移動してもらいにくいのも現実ですが、次善の策はある。私なら選挙カーを後ろに並べてもらうなどし、いざというときに対象者の壁になるようにしたと思います。ところが映像を見ると、容疑者が後ろから車道を歩いてきても、誰も止めようとしていません」

 さる警視庁SPの関係者も、やはりそのことを問題視する。

「いま出ている映像を見るかぎり、安倍元総理の後ろがガラ空きです。今回、警視庁SPが1人つき、あとは奈良県警が警護していたと報じられていますが、この人員自体は、元総理の警護体制として珍しくないです。しかし後ろが警備されていない。背後が警備から漏れるなど普通は考えられません。前方と後方で360度守るのが基本。しかも、今回は360度行き来できる場所で、衆人の前で演説している人を守るのに、真後ろを守っている人がいなかったように見えるのが、理解できません」

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