「SPを2人に増やせないか打診していた」 安倍元総理射殺、警備のどこに不備があったのか

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警備当局に人員を増やすよう打診していたが…

 都道府県警で要人警護を担当する警備部警護課勤務の警察官についても、

「全員が全員ではないでしょうが、警視庁警護課で1年、研修することになっており、基本を学んでいないとは考えにくい。ですから、なぜ今回のような事態になったのか、まったく理解できないのです」(同)

 さらに言うなら、国のあり方についていまも積極的に発言し、支持者が多い一方で批判する人も多かった安倍元総理に対し、この警備体制でよかったのか、という問題もある。というのも、安倍事務所の関係者はこう話すのだ。

「実は以前から、ベタ張りSPを2人に増やしてもらえないか、警備当局の関係者に内々に打診していたのです。安倍元総理はほかの総理経験者とくらべて、狙われる危険性が高いからですが、“いまのご時世、安倍さんだけ警備を手厚くするのは国民の理解が得られない”という回答でした」

 しかし狙われ、命を奪われてしまったいまとなっては、「国民の理解」という言葉も虚しいばかりである。

「しかるべき立場の人間が辞めないと」

 さて、ここまで警護、警備が緩かった以上、責任問題に発展するのは避けられないだろう。奈良県警の鬼塚友章本部長は会見で、

「警護、警備に問題があったことは否定できないと考えております」

 と言って謝罪したが、先の警察庁幹部OBは、「責任論が出てくるのは必至」だとして、こう語る。

「直接的には奈良県警本部長に責任があります。大石吉彦警視総監は、SPを派遣しているとはいえ、指導責任があるとは言いづらいし、警察庁長官も同様です。しかし、政治的責任はありますから、しかるべき立場の誰かが辞めないと、世論におさまりがつかないでしょう」

 社会部デスクも言う。

「元総理が殺されるという、最もあってはならない歴史的失態を引き起こした以上、警備体制の検証が終わったのちに、中村格(いたる)警察庁長官の進退問題が浮上するのは間違いありません」

 しかし、誰が責任を取ったところで、安倍元総理は帰ってこない。

週刊新潮 2022年7月21日号掲載

特集「元総理射殺犯『呪われた一家』の全履歴 自殺の連鎖が生んだ『安倍=統一教会』歪んだ憎悪」より

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