「SPを2人に増やせないか打診していた」 安倍元総理射殺、警備のどこに不備があったのか

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「意味不明なことばかり」

 この関係者は続けて、SPの身辺警護のあり方について疑問を呈する。

「1発目の銃声が鳴り、安倍元総理がなにかあったのか確認するようにゆっくり振り返りますが、その時点でもまだ、SPは元総理を守りに行こうとしていないように見えます。元総理はゆっくり振り返っていて、2発目が撃たれるまで3秒程度の時間があったのに、元総理はガードされませんでした。しかも、あんなに大きなものを持った人間に近づかれ、その行動を止めることができないまま2回も撃たれるというのは、どういうことか。意味不明なことばかりです」

 先の警察庁幹部OBも同様に指摘する。

「1発目の銃声が聞こえたとき、警備陣は“えっ、なに?”という感じで動きが止まっていますが、本来SPは大きな音がしたらすぐに警護対象者に覆いかぶさり、台から引きずりおろしたりして安全を確保するものです。ところが、その動きがまったく見られないのは不思議でなりません」

 育ちのよい安倍氏は、1発目の音にも自分が狙われたとは思わなかったのかもしれない。そうであるなら、なおさら万全の警護が求められたのではないのか。

基本が身に付かず

 その辺りはテレビドラマや映画とくらべても、手ぬるく見えるようだ。さる50代の女性は、

「人気ドラマで映画化もされた『SP』では、首相が狙撃されたとき、岡田准一演じる警視庁のSPは銃声の後、弾丸が当たらないように元首相を転ばせていました。ドラマにそういう場面があるくらいだから、SPはそうするものだと思っていたのですが」

 と感想を述べるが、現実にも同様の例はあった。1995年に警察庁の國松孝次長官(当時)が銃撃された際、秘書官がすぐ、倒れた國松氏に覆いかぶさり、発砲が続くなか、引きずって國松氏の体を安全な場所まで移動させたのだ。その後、國松氏が再び要職を務めることができるまでに回復したのは、よく知られる通りである。

 先の警視庁SP関係者もこう話す。

「なにか大きな音がしたら、真っ先に警護対象者に近づき、対象者の盾になるようにガードするのが警護の基本中の基本。警視庁は年に数回、公開訓練を行い、その様子は動画でも公開されています。そこでは銃声が“パンッ”と鳴ると、SPは条件反射のようにものすごい速さで移動し、警護対象者を覆うように守っています。残念ながら今回、公開されている訓練が身に付いていないことが証明されてしまいました」

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