若者とおじさん、分かり合えない問題 「ハズレを引きたくない世代」は何を考えているのか

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「サプライズなんかいらない」

「僕、今度結婚するんですよ」

 行きつけの飲み屋で、たびたび顔を合わせる20代後半の男性が、浮つきながら教えてくれた。とてもおめでたい。なれそめは、挙式は――。ハラスメントにならないように、祝い酒の肴を楽しんでいた筆者は、その流れで「結婚指輪は?」と尋ねてみた。

「今度一緒に作りに行きます」

 ん? 一緒に選びに行くことはあるだろうが、作りに行く……? そんな表情をしていたのだろう。男性は、「あ、いや! 作りに行くといっても、自分たちでデザインを決めに行くんです。手作りで結婚指輪を作る工房があって、自分たちだけのオリジナルの指輪を作ってもらおうと」。そう慌てて補足してくれた。

 なんでも、職人に希望や想いを伝えられるだけでなく、リング制作過程を撮影し、後日、できあがるまでの映像を記念としてプレゼントしてくれるという。制作過程を楽しみ、結婚式で流し、記念日などに見返せば、「ただ単に指輪を渡すよりもいいじゃないですか」と、彼は嬉々として語る。

「『結婚してください!』って、目の前でパカっと開けて驚かせるみたいな時代じゃないんだね」

 そう筆者が笑うと、「サプライズなんかいらないですよ(笑)。もし、それで気に入らない指輪だったらどうするんですか。それにせっかく作るんだったら、たった一度の演出で終わるのも、もったいないじゃないですか?」と、新郎は莞爾として説明してくれた。

「結婚してください」とサプライズで箱を取り出し相手を驚かせる――。そんな時代は遠くなりにけり、なのかもしれない。「サプライズなんかいらない」。その言葉に、酔いが醒めていく気がした。

Z世代の6割に「ネタバレ経験」

 博報堂の子会社であるSEEDATAの調査によると、約6割のZ世代(25歳以下の若い世代)が、事前にプレゼントの内容を明かすネタバレ経験があると回答している。あらかじめ何が欲しいと聞いた上で、その希望に添ってプレゼントを渡すことは、珍しいことではないという。

 昨今は、「ハズレを引きたくない」、「最短距離で自分の好きなものとマッチングしたい」、そういった心理が顕著になることで、Z世代を中心に「ネタバレ消費」が市民権を得つつある。

 実際、ネタバレを積極的に取り入れるコンテンツも増えている。昨年公開したミステリー映画『鳩の撃退法』の公式“裏”サイトでは、「この物語の結末は、誰とでも話してほしい。ネタバレはすべて、OKだ。」と書かれており、ページ最下部にはストーリーの時系列が書かれたネタバレが列記されているほどだ。

 鑑賞者のネタバレ感想は、サイトからTwitterに飛ぶことで読むことができ、「#鳩の撃退法教えます」というハッシュタグを付けることで、ネタバレや考察の投稿を楽しむことができる。

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