終わらない「コロナの脅威」という無限ループ 熱を出すことさえ許されない日本の「空気」(ネットニュース編集者・中川淳一郎)

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謝ったら死ぬ病

 なぜ、ここまでの異常事態になったのか。ここにかかわったのが政治家・専門家・メディアという社会的には信頼性の高い3者が強固な結びつきをし、過去に言ったことを変えられなかったからである。要するにネットスラングにおける「謝ったら死ぬ病」なのだ。初期に信じられた感染対策がそのまま継続している状態であり、それをしない人間が人でなし扱いをされ、「お前らのせいで終わらないんだ!」と差別される。

 そんな彼らが行ってきた設定を挙げてみよう。

・マスクは感染予防効果が高く常時着用を
・アルコール消毒・アクリル板・ビニールカーテンは感染予防効果がある
・3密(密閉・密集・密接)回避を、いや、1密であってもダメ
・酒を飲む人間は反社会的悪党
・買い物は最低限の人数で、店内・レジでは前の客との間隔を空ける
・エスカレーターのベルトで感染する
・釣り銭でも感染するため、手渡しは現金。キャッシュレス決裁推奨
・電車の吊革でも感染するので、ハンカチや吊革を持つためのフックを活用
・エレベーターのボタンでも感染するため、爪楊枝・綿棒を使用
・県をまたぐ移動をすると他県に感染を広げるため、旅行者・帰省者・出張者は不届き者
・入学式、卒業式、花見、GW、3連休、夏休み、お盆、新学期、祭り、花火大会、シルバーウィーク、年末年始、成人式、卒業旅行でクラスター発生。なお、選挙では発生せず
・子供は重症化しないといっても、高齢者にうつす恐れがあり、それで高齢者が亡くなるから会ってはいけない
・ソーシャルディスタンスこそ大事。他者とは2メートル離れよ
・行動規制はワクチンを打つまでの辛抱→ワクチン打ってもマスクは必要ですよね、今(笑)
・やっぱ子供も重症化するからワクチン打て
・マスクをしない極少数派とワクチン打たない18%ほどの存在が感染拡大の理由
・フェスやスポーツ観戦で声を出すものはマスクをしていたとしても感染の原因

無限ループ

 しかし、よく分かるのだが、いずれも「儀式」でしかない。飛行機に乗る時が顕著なのだが、飛行機の改札では従業員が「前のお客様との間隔を空けて下さい!」と絶叫し、飛行機へ向かう通路でもガムテープで立つ場所が指示されている。しかし、ひとたび飛行機の中に入ってしまうと完全に3密である。だが「飛行機は換気が十分である」と航空各社が言ったからコレが定説になり、飛行機内での「3密」は許され、その直前の3密は許されないということになった。矛盾点だらけであるにもかかわらず、日本は永遠にコロナを終わらせられない無限ループに陥った。

 コロナは怖いです。ステイホーム・基本的感染対策の徹底を→他人にうつさないため、検査をしましょう→皆さんの努力のお陰で感染者数が減りました→でも、引き続き感染対策をお願いします→コロナは落ち着きましたが、後遺症が恐ろしいです→また増えました。皆さんの気が緩んだのが理由です。引き続き感染対策の徹底を→変異種が来ました。どれだけ恐ろしいのか、何が起こるか分かりません→また減りましたが、気を緩めてはなりません。年末年始は真剣勝負の3週間です→ワクチンが完成するのを待ちましょう→ワクチン、ついに完成です→日本は遅い!

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