「円安」「物価高」を放置する岸田首相 「節電ポイント」で高齢者の命が危険に

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「安いニッポン」と言われて久しいが、事態は新局面に突入している。物価高、円安、賃金安。日本経済を取り巻く負のスパイラルに庶民はあえぐばかり。だが、総理も日銀総裁も有効打を放つことなく、まるで人ごとのようだ。人はそれを愚策、いや無策と呼ぶ。

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 岸田政権が船出して、はや9カ月が経過。しかし、「新しい資本主義」なるものの正体を見た者はまだ誰もおらず、もしかしたら岸田文雄総理その人にさえ見えていないのではないかと疑いたくなる。そこに物価高、円安、賃金安の三重苦が襲い掛かってきたのだから、「いい加減にしろ!」と叫びたくもなろう。

「現時点で岸田政権が打ち出している物価高対策は、いまひとつです」

 こう評価を下すのは、第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏だ。

「『総合緊急対策』として、例えば原油高対策には1.5兆円があてられていますが、これは元売り事業者への補助金であり、正直に言って、このお金が小売価格抑制のためにどれだけあてられているのかは消費者に分かりにくい。ガソリン料金に関しても、電気代に関しても、減税で対処し、直接的に小売価格を引き下げたほうが効果的だったと思います」

先進国とは思えない政策

 そうした状況で、岸田政権が物価高対策に関連した“秘策”として繰り出したのが「節電ポイント2千円付与」だ。エネルギー価格が高騰している状況に加えて、夏を含め今後、電力不足となる事態に備え、節電に協力するシステムに参加すれば各人に2千円分のポイントを差し上げましょうというのである。節電、すなわち国民に「我慢」を強いているわけだ。戦中の灯火管制ならいざ知らず、令和の時代に国を挙げての節電。到底、先進国の政策には思えないのである。

 なお、この“節電秘策”は、各電力会社が行う節電ポイントキャンペーンに、政府が上乗せする形で2千円分を加算するというもので、ポイントをもらうためにはキャッシュレス決済の利用が前提となる。

 経済ジャーナリストの荻原博子氏が斬る。

「各電力会社のシステムはバラバラでしょうから、政府が何らかの統合システムを作ることになるのでしょう。でも、例えばコロナ対策として導入された『COCOA(新型コロナウイルス接触確認アプリ)』なんて、いま誰が使っています?  ここ数年、国が作ったアプリやシステムが成功したためしはない。そもそも、システムができる前に夏が終わってしまうんじゃないかしら。はっきり言ってシステムを作るのは税金の無駄遣いだと思います」

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