安芸高田市長と「恥を知れ」と批判された「66歳市議」の評判 事態は泥沼化で不信任案の提出も

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 揉めに揉めている広島県安芸高田市の石丸伸二市長(39)と市議会は、いまだに和解するつもりはなさそうだ。6月30日、2年前、議会中に居眠りし、対立の発端となった武岡隆文市議(66)が突如、記者会見を開き、「居眠りではなく病気だった」と主張したのだ。

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 まず、石丸市長と市議会の対立を、改めて振り返っておこう。石丸氏が市長に当選したのは2020年8月。その1カ月後の9月25日、市議会本会議で居眠りした武岡議員を石丸市長がツイッターに投稿。2日後、武岡議員は石丸市長に謝罪のメールを送った。

 9月30日、石丸市長が市議会全員協議会(全協)に呼び出され、一部の市議から「議会の批判をするな、敵に回すなら政策に反対するぞ」と批判された。石丸市長はこれを恫喝と受け止めた。

 11月15日、市議選が行われ、武岡議員や恫喝したとされる議員が再選した。

 2021年1月、石丸市長は新たな副市長の公募を行い、4000人の応募者から一般社団法人の女性職員を内定した。ところが、市議会本会議に副市長の選任同意案を提出したところ、2度も否決された。結局、議会によってこの人事は潰されてしまう。

新型コロナに立ち向かう

 今年3月には、市議会は新型コロナの影響で市の財政が苦しいことを理由に本会議で副市長の定数を2人から1人に減らす条例改正案を賛成多数で可決した。

 すると、石丸市長は市議会の定数を半分にすると言い出したのだ。

 6月10日、石丸市長は定例市議会に議員定数を16から8に半減させる条例改正案を提出。賛成1、反対14で否決された。もっとも石丸市長は本会議で居眠りする、説明責任を果たさない議員は議会軽視の最たるものとして、「恥を知れ!恥を」と怒り心頭だった。

 石丸市長と市議会の溝が埋まらない中、居眠りしたとされる武岡市議が6月30日、記者会見を開き、「医師から睡眠時無呼吸症候群の診断を受けて、居眠りではなく、軽い脳梗塞による意識の喪失だった」と説明。“居眠り市議”というレッテルを貼られているので、事実を知らせたかったそうだ。もっとも、市長に対しては、居眠りについて説明する気は一切ないという。

「居眠り騒動を発端にして、2年近くも市長と議会が対立しているなんて、ありえないことです」

 と呆れるのは、元市議。

「石丸市長は京大卒でエリート銀行マンというキャリアがあっても、目線を低くして、議員と話し合うべきですね。そうすれば、問題は早く解決できたかもしれません」

とはいえ、武岡議員も早く病気だったことを説明すれば良かったのではないかという気もする。そもそも彼はどんな人物なのか。

「安芸高田市役所の元職員です。最後は福祉保健部長として、新型コロナ問題に対応していました。なかなか人望のある真面目な人です。2020年4月に市議補欠選挙があったとき、地域の人から推薦されて出馬、当選を果たしたのです」(同)

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