「藤田菜七子」超え 重賞初騎乗・初制覇の快挙「今村聖奈ジョッキー」の強さの秘密を「調教捜査官」が明かす

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 新たなスターが誕生した。7月3日(日)に小倉競馬場で行われたGIII ・CBC賞(芝1200メートル)を、今村聖奈騎手(18)騎乗のテイエムスパーダ号が制したのだ。今村騎手は今年3月にデビューしたばかりで、今回が重賞初騎乗。女性騎手の重賞初騎乗・初制覇は史上初とあって、翌日のスポーツ紙各紙が一面トップでこの快挙を大きく報道。あの藤田菜七子ジョッキー以来のフィーバーが巻き起こりつつある――。

圧巻の逃走劇

 まずは競馬記者がレースを振り返る。

「スタートを上手に出した今村騎手は、勢いよくハナをきり(先頭に立ち)、逃げの体制に入りました。そのまま前半600メートルを31秒7という超ハイペースで通過。後続の馬を突き放し、気がつけば1分5秒8という日本レコードをたたき出しての圧勝でした」

 見事な逃走劇を演じたというわけだが、

「ファンをさらに驚かせたのは勝利後のインタビューでした。“プレッシャーは?”と問われると、“走るのは馬なので、馬の邪魔をしないことが私のするべき事だと思って乗っていました″と、18歳で初重賞への挑戦なのに、いたって冷静なんです」

 ルーキーらしからぬ落ち着きぶりにはネットでも、“どんだけメンタル強いんだ″“本当に新人騎手?”“大物感がすごい”といった、驚嘆の声が多数上がった。

 ちなみに今村騎手、快挙達成直後の最終レースでも、豪快に差し切って1着でゴールインし、これでデビュー以来通算19勝。同期の中でもダントツトップをひた走る強心臓の凄腕新人ジョッキーは、いかにして生まれたのか。

なるべくしてなった

 ここで、人気予想家で、CBC賞も今村騎手騎乗のテイエムスパーダ号に本命を打ち、見事的中させた、「調教捜査官」こと井内利彰氏にご登場いただこう。

「実は僕、デビューする前から彼女のことを知っていて。というのも、彼女が競馬学校時代に、研修で、栗東トレーニング・センターにきていたんですよ。そこで調教で馬に跨がっている姿がすごくよかった。専門用語でいうと、『鞍はまりがいい』というのですが、馬が走りたい時に邪魔をしない。もちろんどんな走り方のときもではなく、いい走り方をしているときに、それをサポートしてあげるという感じですね。今回のCBC賞でもまさにそんな騎乗でしたが、それを研修の段階でできていました」

 今村騎手のお父さんは、元JRAジョッキーで、現在は調教助手を務める今村康成氏ということもあり、幼い頃から競馬は生活の一部だったようだ。

「よく厩舎にも通っていて、小学校高学年の頃には、もう騎手を目指していたそうです。彼女自身がとにかく競馬が好きで好きでたまらないという感じなんです。昔から知っている関係者の間では、彼女はジョッキーになるべくしてなった、という感じですね」

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