「元舞妓の告発」が波紋 初任給20万円、産休育休アリの“ホワイトな舞妓”が新潟にいた

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 元舞妓という女性がTwitterで京都の舞妓の“ブラックな環境”を告発して話題になった。「特殊な世界だと分かって入ったんだろう」という意見もあるが、「伝統を守るためにこそ、ホワイトな労働環境を作った」というクリーンな花街が新潟県にあった。

告発の余波

〈この世から抹消されるかもしれんけど、これが舞妓の実態。〉として、未成年飲酒や混浴の強制、さらには胸を触られるといったセクハラ行為などが横行していることを元舞妓の女性が告発した。真偽を疑う声が上がるほど、大きな反響があったのは「いかにもありそう」と受け止める人が多かったからだろう。

「告発が話題になったとき、『周りの声は気にせずに頑張りましょう』と芸者衆に話しました。もともと未成年飲酒は無かったですが、もし勧められても断るように、先輩が上手くかばってあげるようにということも改めて伝えました」と話すのは、新潟県・古町花街にある柳都振興の担当者だ。

 一般的に、舞妓は置屋で共同生活を送り、そこから座敷に派遣されるが、柳都振興は株式会社として芸妓を“入社”させ養成している。

振袖さんの初任給は20万円

 古町花街と祇園をはじめとする京都とは大きな違いがある。まず、京都の置屋は中学卒業後の女性を受け入れるが、柳都振興では応募要件は高卒以上だ。

「18歳未満が午後10時以降の酒席に従事することは法律で禁じられています。お客さんを相手にきちんとお話しが出来るのは高校を出てからではないかと思います。中には大学を卒業し22歳前後で入社する方もいます」(同)

 古町花街では、舞妓のことを振袖さん、芸妓のことを留袖さんと呼ぶ。そんな花街の中で、柳都振興は、芸妓の養成を目的とした初の株式会社として35年前に設立された。

「かつて古町花街にはたくさんの置屋があり賑わっていましたが、時代の移り変わりと共に料亭が減り、また留袖さん(芸妓)もどんどん減っていきました。全国的に同じような問題が起きる中、このまま文化を途絶えさせてはいけないと地元・新潟の企業80社あまりが出資して、1987年に株式会社という形で振袖さんを養成することにしたんです」(同)

 京都の舞妓は、生活や芸事にまつわる世話を全て置屋がやる代わりに、基本的に無給。一方、柳都振興は給料制だ。

「どんな企業でもそうですが、応募する方が見るのは給与や福利厚生などの待遇面ですよね。何をよくしたら人が集まるかを考えるなら、まずは給与面だろうと設立当初から20万円の給与を支払っています。高卒の初任給としてはかなり高い水準です」(同)

 他にも、年2回の賞与に通勤手当等の諸手当、夏季休暇、年末年始休暇、有給休暇の制度などがある。

「未成年のなり手を集めるわけですから、まず大切なことは親御さんの信頼を勝ち得ることだと思います。正直言って、お子さんが芸妓になりたいと言った時、すぐに賛成する親御さんは少ない。だからこそ、待遇や福利厚生が保証されているということが安心材料になると思います」(同)

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