“神のお告げ”という供述も 日本の文化財を平気で盗む韓国人窃盗団の理屈

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 6月15日、長崎県対馬市にある観音寺から2012年に韓国人窃盗団が盗み、韓国に持ち込んだ「観世音菩薩坐像」の所有権を巡る控訴審が韓国中部・大田高裁で開かれ、観音寺の田中節竜住職(46)が初めて出廷した。田中住職は「所有権はわれわれにある」と強く主張し、返還を求めた。

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 事の発端は、2012年10月8日に起こった窃盗事件である。韓国の窃盗団が観音寺から県指定の有形文化財「観世音菩薩坐像」と、同じ対馬の海神神社から国指定の重要文化財「銅造如来立像」や多久頭魂神社から県指定有形文化財の「大蔵経」を盗んだ。彼らは盗んだ仏像などを博多から韓国の釜山に運んだという。

 2013年1月、7人の窃盗団は逮捕された。その後、「観世音菩薩坐像」も見つかった。「大蔵経」の行方は今も不明だが、「銅造如来立像」は2015年に返却された。

 普通なら、盗まれた仏像は対馬の寺に返還されるはずだ。ところが、韓国の瑞山市にある浮石寺が返還に待ったをかけた。「観世音菩薩坐像は600年以上前、日本の海賊『倭寇』に奪われた自寺の仏像である」と言い出し、大田地裁に返還を差し止める仮処分を申請。大田地裁は2月、返還を差し止める仮処分を認めたのである。

正当に譲り受けた

 韓国の仮処分は裁判に移行しないと3年で効力がなくなる。そのため浮石寺は2016年4月、韓国政府を相手に仏像の引き渡しを求めて提訴。2017年1月の一審判決で、大田地裁は「仏像は原告(浮石寺)の所有として十分に推定できる」として原告勝訴を言い渡したのである。

 そして今年の6月15日、12回目の控訴審が大田高裁で行われ、韓国政府側の「補助参加人」として観音寺の田中住職が出廷したのだ。

 田中住職は「浮石寺は、法的な意味でも所有権成立の立証が不十分であり、取得時効が成立している。仏像の所有権は観音寺にある」と主張。さらに「仏像は16世紀に観音寺を創建した僧侶が朝鮮半島に渡って正当に譲り受けたもの」と説明した。

 これに対し浮石寺側は「16世紀に仏像が日本に渡った経緯が適法だったという証拠はあるか」と反論したという。

「大田地裁が浮石寺に勝訴の判決を出したのは、『倭寇に略奪されたものだから、韓国に取り戻すのが正当』という考えが根底にあったからです」

 と解説するのは、歴史学者で東アジアに詳しい京都府立大学文学部の岡本隆司教授。

「この考えは元々、窃盗犯が口にしていたものです。それに仏教界ばかりか、法曹界まで大真面目に同調し、盗品を返そうとしない。日本人からみれば、メチャクチャな論理です」

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