10億円コロナ給付金詐欺、黒幕は“六本木人脈”の中心人物 逮捕の谷口も「カモにされていた」

国内 社会

  • ブックマーク

Advertisement

 被害総額10億円は、同一グループによる持続化給付金詐欺の不正受給額として最大。当初、本件は、インドネシアに逃亡後、逮捕された谷口光弘容疑者(47)とその一家が引き起こしたかに見えた。だが、ここにきて、事件の鍵を握る別の男の存在が明らかに……。

 ***

 事件の概要は2020年5月から9月にかけて、谷口容疑者と元妻及び2人の子どもらが1780件の虚偽申請を行い、持続化給付金を不正受給したというものだ。

 社会部記者の話。

「ほとんどは個人事業主としての虚偽申請で、実際に給付金が下りたのは約960件です。大半がサラリーマンなど、本来であれば受給資格がない人々。そうした人たちを個人事業主に仕立て上げ、申請を代行する手口でした。申請者には国から最大100万円が支給されるのですが、その3割程度を谷口容疑者らが報酬として得る仕組みでした」

安心させる手口

 実際、虚偽申請を行ったという都内在住の男性は、次のように証言する。

「港区のビルの一室で、最初に谷口氏から見せられた書類は、確定申告用の用紙でした。それに、名前、生年月日、住所、電話番号、個人事業主としての屋号などを書くんです」

 この男性は、谷口容疑者と面談した際、職業を尋ねられた上、“ネットで物を売ったり買ったりしますか”と聞かれたという。

「もちろん、今時は誰だってネットで服を買ったり、多少は何かを売ったりするじゃないですか。そう答えたら、“じゃあ、その売り上げや支出を個人事業主として申請しましょう。きちんと立派な個人事業主だと認定されますよ”と言われて……」

 加えて、谷口容疑者は男性を安心させるように、こうも言い添えていたとも。

「私の会社の顧問弁護士、税理士がサポートしてくださっています。私が申請を代行しても問題ないと言ってもらっていますから」

 その詐術が事件で果たした役割は決して小さくない。だが、被害が膨れ上がったのには、別の背景があるのだ。

次ページ:「財布は現金でパンパン」

前へ 1 2 3 次へ

[1/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。