10億円コロナ給付金詐欺、黒幕は“六本木人脈”の中心人物 逮捕の谷口も「カモにされていた」

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すべて架空話

 無論、そんなウマい話があるはずはなく、すべては架空の話。だが、谷口容疑者は、この手口で500万円をまんまとだまし取られ、

「谷口は太田にカネを早く返してくれと、ずっと催促していました。でも、太田はカネを返す代わりに、コロナで給付金事業が始まったことに目をつけて、それでもうけようと谷口に持ち掛けた」

 そして、太田容疑者は谷口容疑者を次のような巧みな話術で、グループの主犯格に仕立て上げていく。

「僕は、人脈を使えば千人は集められるので、谷口さんは、その人たちの持続化給付金の申請を行ってほしい。谷口さんが1人につき15万円の手数料を抜けば、すぐに1億円ぐらい手に入れられるじゃないですか。で、1億円を超した分のもうけは、僕のものにしてもらう。そうすれば、借りもチャラになりますよね」

 これぞ事件の核心“六本木人脈”の始まりである。

高級時計リース詐欺も

 こうして、太田容疑者と谷口容疑者の出会いからねずみ講式に広がっていった詐欺グループは、最終的には10億円という巨額の不正受給を行うに至ったのだ。

“黒幕”の悪事は他にもあり、

「太田はさまざまな詐欺に手を染めていたが、その一つが、高級時計リース詐欺だ。たとえば昨年、太田は都内のある経営者に対して、“SNSのインフルエンサーに時計を貸して、使っている様子をネットにアップしてもらえれば、広告費用として、たった1日で30万円を受け取ることができる。もうけは山分けしましょう”と持ち掛けていたのです」(捜査関係者)

 その経営者はロレックスの「デイトナピンクゴールド」と「サブマリーナSS」、合計額にして869万円にもなる時計2本を、リース契約を結んだ上で太田容疑者に貸し出したが、

「時計は、約束の期日になっても経営者の元には戻ってきませんでした」

 前出記者の話。

「谷口容疑者と太田容疑者は、今後も、虚偽申請1件ごとに再逮捕されます。公判が維持できる証拠が固まり次第、立件される見込みです。動機等に情状酌量の余地もないことから、実刑は免れ得ないでしょう」

 こんな不埒な輩たちに血税はまんまと食い物にされていたのだ。

週刊新潮 2022年7月7日号掲載

特集「『10億円コロナ給付金詐取』 逮捕『谷口光弘』の陰に“本当の黒幕”」より

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