「プーチン」に迫る孤立化の足音 同盟国とロシア国内での人心離反のウラで深刻化する“人間兵器”の破壊力

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難民という「人間兵器」

 実態は“内憂外患”に直面しているというプーチン大統領。ウクライナ侵攻の成否はみずからの権力と直結するため、その重要性は日を追うごとに増している。

「“核の脅し”などを使って、欧米の結束とウクライナへの武器供与に歯止めを掛けようとしてきたプーチン大統領にとって、侵攻から4カ月経った現在の状況は誤算の連続といえます。そんななか、プーチン大統領が早い段階からウクライナの孤立化を狙って画策してきたのが、意図した難民の大量発生です」(中村氏)

 現在、祖国を逃れたウクライナ難民の数は約750万人にのぼり、うち300万人以上が隣国・ポーランドに逃れているという。

「2011年の内戦勃発以降、大量発生したシリア難民は現在でも700万人近くが国外避難の身にありますが、当初は年間100万人前後で推移しました。この数字からも、ウクライナ難民の数がいかに異常かが分かると思います。ただでさえ、欧州各国はインフレなどで国民の不満が高まっており、そこに大量の難民が押し寄せることで支援の機運がしぼんだり、あるいは“反ウクライナ感情”醸成の素地ともなりかねない。それを見越した上で、プーチン大統領はウクライナで破壊の限りを尽くしているとの指摘がロシア国内で出始めている。つまりプーチン大統領がウクライナを焦土化させる勢いで攻撃の手を緩めないのは、難民という“人間兵器”を欧州各国に放つ意図だと考えられているのです」(中村氏)

“悪魔の計略”を前に日本や世界は何ができるか――。いま一度、考える必要がある。

デイリー新潮編集部

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