カープ「秋山翔吾」強奪のウラに盟友「マエケン」復帰プラン 「2016年V」再現の現実味

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広島が名球会入りの最適解

 秋山翔吾(34)が広島、西武、ソフトバンクの三つどもえの争奪戦の末、広島に電撃入団した。西武時代には球界を代表する安打製造器の名をほしいままにし、大リーグに挑んだ。現在セ・リーグ3位の広島では、逆転優勝への起爆剤に期待されるだけではない。2024年、同学年で親交が深い前田健太(ツインズ)復帰の呼び水にと声も上がり、黒田博樹と新井貴浩の復帰翌年にリーグ優勝した2016年の再現の機運が高まっている。

 6月30日、マツダスタジアムで行われた入団記者会見で、秋山は広島入りの最大の決め手に言及した。

「個人としての思いは持っていたが、(入団交渉で)フロントの方からそういう(2000本という)言葉が出たのはうれしく思った」

 ソフトバンクは金銭的に随一の好条件でも、当初から不利が予想されていた。外野は栗原陵矢、上林誠知が故障で離脱中だが、復帰すればポジション争いは熾烈になる。選手層が厚く、今後も続々と若手の台頭も見込まれる。あと524本に迫った日米通算2000安打には厳しい条件である上、「西武と同一リーグで、秋山の人柄を考えると、古巣やそのファンを敵に回すような選択はしない」(西武球団関係者)事情もあった。

 一方、広島は鈴木誠也(カブス)、西武はそれこそ秋山が抜けた影響で、ともに外野のレギュラーが固まっていない。出場機会という利点では互角と言えた。

 ならば条件面はというと、西武の2年契約に対し、広島は3年契約(いずれも今季含む)を提示した。ここでポイントになったのが「2000安打」だ。単純に3年で割っても1シーズン平均170安打以上のハイペースを要する。全盛期の秋山ならともかく、今は3年契約でさえ短い。1年でも長い契約が欲しいのは当然だ。

 近年では巨人で村田修一らが移籍先であと一歩のところで、2000本の大台を逃した。逆にロッテ一筋にプレーした福浦和也は入団から22年かけて到達した。

「生え抜きなら球団も達成に向けてバックアップを惜しまない。ただ、外様にはどうしても冷たくなる」(遊軍記者)

 秋山は「(松田元)オーナーからぼろぼろになっても2000本を打ってくれという言葉をいただけたのはありがたいなと思った」とも言った。3年契約満了後を見据えても、広島が名球会入りへの最適解だった。

「投高打低」のパを敬遠か

 それでも、本人が「セ・リーグ、西日本に縁もゆかりもない」と認めたように、新たな環境に飛び込む抵抗感はなかったのか。

 広島の鈴木清明球団本部長が「後ろにいっぱい応援団がいた」と話したように、同学年の會澤翼、年少の菊池涼介らは日本代表でチームメートだった。特に菊池は球団より早く広島入りを知っていたとの話もあるほど親密な関係だ。首脳陣にも西武時代の恩師、河田雄佑ヘッドコーチがいる。「秋山はもともとコミュ力が高い。その上、これだけ知っているメンバーがいれば、入る前からファミリー状態。不安は全くないでしょう」(西武時代の同僚)

 しかも、「西武では球界を代表する巧打者としてフリーエージェントで満を持してメジャー挑戦したが、結果を残せなかった。凱旋とはほど遠く、復帰には後ろめたさもあっただろう。それにファンに以前と同じ活躍を期待されても、今は応える自信があるかどうか。それなら全く新しいリーグ、チームで自分の秘めた可能性に懸けてみようとした気持ちは理解できる」(同)

 さらに今季のパ・リーグはセに比べ、より投高打低の傾向が顕著で、打者には厳しい条件だ。

「秋山はメジャーで日本より平均球速が10キロほど速いと言われる投手たちとの力勝負に苦戦した。佐々木朗希(ロッテ)をはじめ、山本由伸(オリックス)、千賀滉大(ソフトバンク)と160キロ前後の速球を持つ投手がいるパを避ける意味合いもあったのではないか」(遊軍記者)

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