1本70円「ガリガリ君」の苦悩 アイスも軒並み値上げの中でいつまで耐えられるか

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相次ぐ値上げラッシュ

 ただし、注意していただきたいのは、赤城乳業が値上げするタイミングは9月と10月だということだ。今夏はガリガリ君だけでなく、他の商品の価格も据え置かれることになる。

 これほど値上げに慎重な姿勢を示す会社が、どういう背景から値上げを決めたのか、赤城乳業開発マーケティング本部に話を聞いた。

「何より原材料の値上げラッシュが続いているのが大きいです。チョコレート、植物油脂、卵、包装紙、プラスチック、いずれも数十%以上の値上げとなっています。輸送コストや保管コストも上昇しています。トラックのガソリン代や、倉庫で必要な電気代が上昇することなどで、追い打ちをかけられた格好です」

 そういう事情なら仕方ない──と思った人は決して少なくないだろう。実際、赤城乳業には「無理しないでください」、「値上げしてください」という声が寄せられているという。

 だが、今回の値上げで一件落着とはならない。なぜなら、今回の値上げにはウクライナ情勢や円安の影響は「含まれていない」からだ。

ウクライナ情勢

「今回の値上げは、ポスト・コロナで原材料の獲得合戦が起きたことを反映したものです。感染拡大が沈静化に転じ、全世界で需要が復活。各国が争って資源や原材料を求めるようになって価格が高騰しました。また、物流が混乱したことも価格を上昇させました。そのため、例えば円ドルのレートで言えば、今回の値上げは1ドル123円を想定したものです。今の130円台は計算に入っていません」(同・開発マーケティング本郡)

 となると、ロシア軍によるウクライナ侵攻が長引いたり、1ドルが140円台を突破したりすれば、更なる値上げが必要な事態もあり得る。

「弊社の場合は今のところ全くの白紙ですが、食品業界全体の報道を見ると、『第2弾、第3弾の値上げは折り込み済み』と予想されています。ウクライナは農業国ですから、戦乱で小麦が出荷できず、アフリカなどでは飢餓の可能性が懸念されています。私どもの業界でも、アイスクリームのコーンは小麦粉ですので無関係ではありません。更に、ウクライナ産果汁の減産の影響がヨーロッパに波及し、その影響が出ています」(同・開発マーケティング本郡)

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