宝飾会社買い占めで「敏腕弁護士」「著名ブローカー」が激突 両者の言い分は

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 今年も株主総会の季節がやって来る。6月29日には上場企業の4分の1が総会を開く予定だが、株主と経営陣が激突することも増えてきた。宝飾品を手掛ける「ナガホリ」もそんな一社だ。同社は1962年の創業で、主に百貨店に出店することで事業を広げてきた。ちなみに、元会長の長堀守弘氏は明治大学の元理事長である。しかし、近年は業績が低迷し、株価も100円台を行ったり来たり。そのナガホリ株が急変するのは3月半ばのことだ。いきなり出来高が増え5月には1100円にタッチする。

 急騰の理由は買い占めだった。不動産業の布山高士氏という人物が9.84%。また、尾端友成氏が経営する「リ・ジェネレーション」社が10.89%まで買い集めていたのだ。

 証券会社の関係者が言う。

「ナガホリ側の調べによると、布山氏や尾端氏の他にもタイミングを合わせるかのように株を買っていた投資家がおり、合わせて32.14%まで握られていることが分かったのです。尾端氏の会社が、著名な金融ブローカーのO氏と関係していることも分かりました」

 O氏は2007年、土木会社を舞台にした証取法違反事件に登場するなど、その世界では知られた人物。

ナガホリが選んだ対抗策は

 驚いたナガホリは企業防衛に強いことで知られる「西村あさひ法律事務所」に依頼する。担当弁護士は太田洋氏。日経新聞が選ぶ弁護士ランキング(2020年)で、M&A分野の1位になった辣腕法律家である。

「ナガホリが選んだ対抗策は、買い占めグループ以外の株主に新株予約権を無償で割り当てるというもの。ポイズンピルと呼ばれる手法で、相手の持ち株比率を薄めてしまうのです」(同)

 対するリ・ジェネレーションはホームページで、金融ブローカーとは面識がないし、布山氏とも関係ないと反論。株主総会では重要提案を行うと通告している。

 また、買い占めグループの“中核”とみなされているO氏に聞いてみると、

「私はナガホリ株を一株も持っていません。それなのに同社は、私のことをIR文書で関係があるかのように名指ししている。あまりに一方的なので名誉毀損で訴えたところです」

 一方のナガホリはO氏の関与について、

「お答えすべき立場にございません」(総務部)

 どちらが勝つのか、総会当日まで予断を許さない。

週刊新潮 2022年6月23日号掲載

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