井上康生とコンビニ 「ミニストップ」「セブン」「ローソン」こだわりの使い分け

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コンビニに望むさらなるサービスは?

渡辺:これまで康生さんは国際大会などで海外に行く機会も多かったと思いますが、海外にいるからこそ、日本のコンビニの便利さを実感したことはありますか?

井上:海外ならではのお店、あるいは専門店の強みというものはあると思いますが、それを差し引いても日本のコンビニの便利さはとんでもないと思いますよ。

渡辺:365日24時間、全国5万8000店舗で食品や日用品が購入できる。イベントのチケットだって買えるし、ほかにも宅配便を送ったり受け取ったりもできるし、マルチコピー機では行政サービスにも対応している。そんな国はほかにないんですよ!…と、こんな話をした上で、あえて窺います。現状ですら便利なコンビニに、さらなる要求をするとしたら康生さんはどのようなサービスを望みますか?

井上:いや、これは難しい質問ですね…。

渡辺:これまでコンビニは消費者が望んだことのほぼすべてを叶えてきましたからね。実現していないのは全店舗に医薬品を置くことくらいです。

井上:医薬品で思い出しましたけど「氷嚢」かな?

渡辺:氷嚢ですか?

井上:以前、子どもが運動中に軽い怪我をしたことがありまして、氷嚢を探して近くのコンビニを回ったんです。でも、さすがに氷嚢は置いてなかったんですよ。

渡辺:たしかに氷嚢を販売しているコンビニはないですね。

井上:スタジアムなどのスポーツ施設の周辺にあるコンビニならば扱っている、といった可能性は考えられませんか?

渡辺:僕は聞いたことがないですね。ただ、そうした“局地的な仕入れ”というものは存在します。僕がローソンに勤務していた時代の話ですが、病院の横にある店舗で「白いストッキング」を販売していたことがありました。当時、その病院では女性の看護師が白いストッキングを着用していたので、彼女たちの要望を受けて置くことにしたんです。とは言え、これは珍しいケースです。

井上:そうですか…。では、氷嚢はあきらめて、コンビニで「ドライブスルー」というのはどうでしょう?

渡辺:ドライブスルーは考えたこともありませんでした(笑)。商品のピッキングに時間が掛かるので実現は難しいと思いますが、ユニークなアイデアです。代わりと言っては何ですが、宅配サービスは行われてますよ。セブンは「ネットコンビニ」、ファミマは「menu」、ローソンは「Uber Eats 」など、各社で対応店舗の拡充が進められています。

井上:なるほど。そう考えると、事前にアプリなどで注文して、受け渡しのみドライブスルーで行うのは可能でしょうか?

渡辺:それなら可能ですね。車の利用が多い地方の店舗などで実験的に試してみたら、コンビニの新たな可能性が見えるかもしれません。

(取材・構成/松本晋平)

井上康生(いのうえ・こうせい)
柔道家(七段)。1978年宮崎県生まれ。東海大学体育学部武道学科卒、東海大学文学研究科博士課程コミュニケーション学専攻満期退学。2000年シドニー五輪男子柔道100キロ級金メダリスト。2008年に現役を退いたのちに指導者の道を進み、2012年から2期9年にわたって柔道全日本男子監督を務める。現在は東海大学教授として教鞭を執るほか、NPO法人JUDOs理事長として柔道を通じた国際理解・交流にも尽力している。

渡辺広明(わたなべ・ひろあき)
流通アナリスト。コンビニジャーナリスト。1967年静岡県浜松市生まれ。株式会社ローソンに22年間勤務し、店長、スーパーバイザー、バイヤーなどを経験。現在は商品開発・営業・マーケティング・顧問・コンサル業務など幅広く活動中。フジテレビ『FNN Live News α』レギュラーコメンテーター、TOKYO FM『馬渕・渡辺の#ビジトピ』パーソナリティ。

デイリー新潮編集部

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